ダイムラー・ベンツは1951年4月のフランクフルト・ショーにおいて、戦後初の多気筒(6気筒)エンジン搭載モデルとなるタイプ220(W187型)を発表しました。ベースとなったのは原設計を1936年まで遡る4気筒エンジン搭載モデル170シリーズ(W136型)で、6気筒エンジンを搭載する為にフロントセクションを延長するモディファイが行われました。
ヘッドランプは埋め込み式に
170シリーズ同様Xバックボーン型フレームに架装されるボディは、まず4ドアセダンと2ドア4シーターカブリオレ「カブリオレB」がラインナップされました。スタイリングは、独立した前後フェンダーが備わる戦前型ならではの出で立ちがそのまま受け継がれた一方で、ロングノーズ化と共に独立式だったヘッドランプが埋め込み式に改められました。
ボディサイズは全長4,510mm(セダン)/4,540mm(カブリオレ)×全幅1685mm×全高1,560mm(セダン)/1,610mm(カブリオレ)で、170シリーズから全長が50mm以上延長されました。一方ホイールベースは不変の2,845mmで、車両重量は100kg以上増加し1,350kg(セダン)/1,440kg(カブリオレ)となりました。
サスペンション形式は、それまでと同様のフロント:ダブルウィッシュボーン式/コイル式・リア:スイングアクスル/コイル式が踏襲されました。駆動方式も同様にFRを踏襲し、フロントに搭載されるエンジンは、このモデルの為に新開発された2.2L直6のM180型が搭載されました。
SOHC方式採用により高性能を発揮
カムシャフトの駆動方式は、戦前の同社製6気筒モデルがSV(サイドバルブ)方式であったのに対し、遥かに先進的なSOHCが採用されました。そのアウトプットは、6:5.1の圧縮比とソレックス・シングルキャブレターにより、最高出力80ps/最大トルク14.5kgmを発生しました。
この数値は、170シリーズ最強の「170S」に搭載される1.8L直4SVエンジンを28ps/4.1kgm凌ぐものでした。トランスミッションはフルシンクロ化されたコラム式4速MTが組み合わせられ、最高速度は170Sを19km/h上回る141km/hに達しました。又、0-100km/h加速は21sで、最高速度と併せ当時のセダンとしてはトップレベルの性能を誇りました。
その他の機構面では、ウォーム&ローラー式のステアリング形式や4輪ドラム式のブレーキ形式は170シリーズと同様で、タイヤサイズは5.50×16又は6.40×16から6.40×15へと小径化されました。その後、1954年に2+1シーター仕様のカブリオレ「カブリオレA」と、フィクスドヘッドボディの2ドアクーペがラインナップに加わりました。
この2モデルに搭載されたエンジンは圧縮比が7.6:1に高められ、アウトプットが最高出力85ps/最大トルク16kgmに向上していました。そして1954年3月、全面的な改良が施された後継車種「220a」にバトンタッチして生産終了となりました。