1951年にデビューした小型乗用車W187型「220」シリーズは、1954年3月にフルモデルチェンジを受け、W180型「220a」に移行しました。戦前のモデルさながらの独立した前後フェンダーを備えていたW187型から一転、一足早く登場した弟分の「180」シリーズに続きフラッシュサイド・フルワイズ・ボディを採用し、その丸みを帯びたフォルムから舟橋の一種である「Ponton(ポントン)」の愛称が付けられました。
セミモノコック・ボディを採用
ボディの構造は、それまでのXバックボーン型フレームにボディを架装する方式から、180シリーズ同様のセミモノコック構造に進化しました。ボディタイプは、当初はW187型に用意されていたクーペやカブリオレの設定はなく、4ドアセダンのみのでのスタートとなりました。スタイリングは、ボディ側面に独立したフェンダーの名残を残すプレスラインが備わるなど、180シリーズの延長線上にあるものでした。
その一方で相違点もあり、前後のサイドウィンドウには180シリーズにはない三角窓が設けられていました。又、W187型に対してはグリーンハウスとガラスエリアが拡大され、居住性及び開放感が向上しました。ボディサイズは全長4,715mm×全幅1740mm×全高1,560mmで、180シリーズより一回り大きく、W187型に対しては全長と全幅が拡大された一方全高は低くなりました。
動力性能や操縦安定性が向上
ホイールベースは2,820mmで180シリーズよりも長かったものの、W187型からは若干短縮されました。車両重量は1,300kgで、W187型から50kg軽量化されました。サスペンションは、形式上はW187型と同様のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:スイングアクスル式を踏襲するものの、固定式だったデフがドライブシャフトと共に可動する方式に変更され、操縦安定性の向上に結び付きました。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンも2.2L直6SOHCソレックス・シングルキャブレター仕様のM180型(最高出力85ps/最大トルク16kgm)がキャリオーバーされました。従来同様の4速MTを介しての動力性能は、ボディの空力特性向上と軽量化により向上、最高速度は9km/h高い150km/hに達し、0-100km/h加速は2s短縮され19sとなりました。
クーペとカブリオレを追加
その他の機構面では、ステアリング形式がそれまでのウォーム&ローラー式から、リサーキュレーティング・ボール式に変更されました。そして1956年、220aに代わるモデルとして、ツインキャブレターを装備したエンジン(最高出力100ps/最大トルク16.5kgm)を搭載する「220S」と、ホイールベースを120mm短縮したシャシーに同エンジンを搭載するクーペ及びカブリオレがリリースされました。
同時に、180シリーズの上級グレード「190」のボディを延長し、従来同様の85ps仕様エンジンを搭載するセダンの廉価版「219」(W105型)が登場しました。次いで翌1957年には、220Sシリーズに搭載されるエンジンのアウトプットが最高出力105ps/最大トルク17.5kgmに向上すると共に、4速セミATの選択が可能となりました。
更に1958年、それまでのキャブレターに代えボッシュ製機械式燃料噴射装置を採用し、最高出力115ps/最大トルク19kgmのスペックを持つ「220SE」(W128型)が追加されました。そして1959年にフルモノコックボディを持つ後継モデル「220b」がデビューした事に伴い、まず220a/220Sが生産終了となり、残る220SEも1960年に生産を終了しました。