1991年に初代モデルがリリースされたクライスラーの2シータースポーツカー「ダッジ・バイパー」は、2010年を持って一旦同社のラインナップから消滅したものの、2年後の2012年4月にブランド名をSRTに変更した3代目モデルが発表されました。先代からエンジンの出力向上が図られると共にボディが軽量化され、走行性能が更に向上した事が特徴でした。
空力特性を改善
ボディは高剛性化が図られると共に、アルミニウムやカーボンファイバーが採用されました。又、コンバーチブルの設定が無くなりクーペに一本化された他、Cd値が0.4から0.365へと改善されました。ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションを踏襲するボディのサイズは全長4,463mm×全幅1,940mm×全高1,190mmで、先代に対しワイド&ローなディメンションとなりました。
ホイールベースは先代と同一の2,510mmで、車両重量は40kg程軽量化され1,521kgとなりました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは8.4L V10 OHVの基本スペックこそ先代後期型と同様ながら、アウトプットは最高出力が41psアップの649ps、最大トルクが5.6kgmアップの83kgmへと向上を果たしました。組み合わせられるトランスミッションは、従来同様6速MTでした。
又、タイヤは先代のフロント:275/35ZR18・リア:345/30ZR19に対し、それぞれ295/30ZR18・355/30ZR19に変更されました。グレードは当初、ベースグレードと上級グレード「GTS」が用意され、走行性能に係る装備面では両グレードに横滑り防止装置「ESC」やトラクションコントロールが採用された他、更にGTSにはアクティブサスペンションが標準装備されました。
SRTから再びダッジに
その後2014年に、エアロパーツや強化サスペンションが備わる新グレード「TA」が追加された他、アフターマーケットからソフトトップ・コンバーチブル仕様がリリースされました。次いで2015年にマイナーチェンジが実施されると共に、ブランドがSRTから初代及び2代目モデル同様のダッジに戻されました。
同時に、エンジンの最高出力が654psに向上すると共に、6速MTのギアレシオも変更されました。このリファインにより、燃費性能や高速走行時の静粛性が改善されました。又、グレード体系も見直され、GT/GTC/GTS/SRTの4タイプとなりました。しかし、予てよりの販売不振は解消されず、2016年に2017年モデルを持ってバイパーの生産が終了となる旨が発表されました。
それを受け、6月にバイパー誕生25周年及び生産終了を記念した限定車5モデルが設定されました。この限定車はメーカーの予想を上回る好評を博した為、7月に新たな限定車のリリースが発表されました。尚、3代目バイパーは2代目同様日本市場への正規輸入は行われませんでした。