ダイムラー・ベンツは1959年のフランクフルト・ショーにおいて、通称「Ponton」と呼ばれたW105/180/128型に代わるニューモデルW111型「220b」を発表しました。基本メカニズムは先代譲りであった一方で、ボディ構造がそれまでのセミモノコックからフルモノコックに進化しました。外観面ではテールフィンが設けられた事が大きな特徴で、「フィンテール」の愛称が付けられました。
ワイド&ローなディメンジョンに
ボディタイプは当初、先代に設定のあったクーペとカブリオレは用意されず、4ドアセダンのみでのスタートとなりました。そのスタイリングは、丸みを帯びたフォルムとボディ側面のプレスラインが特徴的だった先代から一転し、直線基調のシンプルなフォルムに変貌しました。前述のテールフィンは米国製大型乗用車の影響を受けたもので、従来からのメルセデスユーザーの間で物議を醸しました。
ボディサイズは全長4,875mm×全幅1,795mm×全高1,500mmで、先代より長く広く、そして低い近代的なディメンションとなりました。ホイールベースは先代の廉価モデル「219」と同一の2,750mmで、車両重量はそれよりも60kg重い1,320kgでした。サスペンション形式は、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:スイングアクスル式が踏襲されました。
駆動方式も従来同様のFRで、パワートレインは2.2L直6SOHCソレックス・ツインキャブレター仕様のM180型エンジン(最高出力95ps/最大トルク17.2kgm)と4速MT又は4速セミATの組み合わせがキャリオーバーされました。又、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式を踏襲する一方で、新たにパワーステアリングがオプション設定されました。
クーペとカブリオレを追加
そして同年末に上級グレードとして、エンジンのアウトプットをキャブレター仕様のままで最高出力112ps/最大トルク17.5kgmに高めて搭載する「220Sb」と、ボッシュ機械式燃料噴射装置を備えたエンジン(最高出力132ps/最大トルク20.2kgm)を搭載する「220SEb」がラインナップに加わりました。次いで1960年9月には、220SEbに2ドアクーペと2ドアカブリオレが追加されました。
この2つの新しいボディの特徴は、賛否の分かれたテールフィンが廃止された事にありました。続いて1961年4月、フラッグシップモデル「300d」と共通の3L直6SOHCエンジン(最高出力159ps/最大トルク25.6kgm)を搭載するセダンの最上級グレード「300SE」(W112型)が追加されました。ボディにメッキの加飾が施された他、サスペンションのスプリングにコイル/エアのハイブリッド式が採用されました。
又、4輪ドラム式だったブレーキは4輪ディスク式にアップグレードされ、パワーステアリングが標準装備されました。更に、オプションで4速トルコン式ATが設定されました。追ってこの300SEの新たなバリエーションとして、1962年3月にクーペとカブリオレが仲間入りし、翌1963年3月にはホイールベースを100mm延長したセダン・ロングホイールベース仕様が追加されました。
そして1965年に後継モデルW108型がデビューした事に伴い、まずセダン300SEがカタログ落ちし、1968年にはセダン220シリーズも生産終了となりました。その一方で、クーペとコンバーチブルは改良が施された上で1971年まで生産が続けられました。