三菱自動車は1994年12月、「パジェロ」の弟分となる軽クロスカントリーSUV「パジェロミニ」を発売しました。本格派の軽SUVとしては「スズキ・ジムニー」に次ぐ参入となったものの、ラダーフレームのシャシーに3気筒エンジンを搭載するジムニーに対し、ビルドインフレームのモノコックボディに4気筒エンジンを搭載するなど基本設計やキャラクターは異なっていました。
パジェロを縮小したスタイリング
スタイリングは、正に車名通り2代目パジェロを縮小したような雰囲気を備えており、ツートーン・ボディカラーの設定などもパジェロに倣ったものでした。ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,395mm×全高1,630mmという当時の軽自動車規格に準じたもので、ホイールベースは2,200mm、車両重量は初期型で850~920kgした。
ジムニーとの比較では、全高が40~195mm低くホイールベースは170mm長いディメンションでした。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアが5リンク/コイル式で、駆動方式は当初3つの走行モード切替機能が備わるパートタイム4WDシステム「イージーセレクト4WD」のみの設定でした。
三菱 パジェロミニのCM
エンジンはNAとターボを用意
エンジンは、軽ハッチバック「ミニカ」などにも搭載される0.66L直4の4A30型で、最高出力52ps/最大トルク6kgmのSOHC16バルブNA仕様と、最高出力64ps/最大トルク9.9kgmのDOHC20バルブ・ツインスクロールターボ仕様が用意されました。トランスミッションはそれぞれに5速MTと3速トルコン式ATが設定され、共に副変速機が備わりました。
当初のグレード体系は、NAエンジン搭載の「XR-Ⅰ」「XR-Ⅱ」、ターボエンジン搭載の「VR-Ⅰ」「VR-Ⅱ」の4タイプでした。そして1996年1月に、「XR-Ⅱ」「VR-Ⅱ」をベースに装備を追加したデビュー1周年記念特別仕様車「1stアニバーサリー」が、更に同年5月には、同じく「XR-Ⅱ」「VR-Ⅱ」をベースにした特別仕様車「スキッパーX」「スキッパーV」が設定されました。
追って翌6月に、全車に運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されました。次いで同年10月、「XR-Ⅰ」「VR-Ⅰ」をベースにした特別仕様車「アイアンクロスX」「アイアンクロスV」が、追って1997年1月に、「1stアニバーサリー」以上の追加装備を持つ「XR-Ⅱ」「VR-Ⅱ」ベースの特別仕様車「アニバーサリーリミテッド-X」「アニバーサリーリミテッド-V」が設定されました。
FFモデルを追加
次いで同年5月に一部改良が実施され、エクステリアの変更や装備の充実化と共に、NAエンジン搭載のFRモデルが追加されました。同時に特別仕様車「スキッパーX」「スキッパーV」と、特装車「デザートクルーザー」が設定されました。更に同年9月に、特別仕様車「ホワイトスキッパーX」「ホワイトスキッパーV」及び「アイアンクロスX」「アイアンクロスV」が設定されました。
パジェロ ミニ(初代)の口コミ評価/中古車購入インプレッション
深い緑色のパジェロミニは私が一番最初に自分で購入した車です。3ドア、4人乗り、5速MT、パートタイム四駆で寒冷地仕様。雪なし地域から雪国に引っ越したばかりで車を買うのも初めてだったため、よく分からないままに足回りがしっかりしたものを、とお願いしました。
デジタルの高度計・コンパス・温度計を装備
クルマ屋さんに予算を伝えて探してもらってやってきたのがパジェロミニです。元の持ち主はその地域の牛乳屋さんで配達に使われていたとのことでした。使用状況がきれいで大切にされてきた感が漂っていました。
このパジェロミニで一番気に入っていたのは、デジタルの高度計・コンパス・温度計がついていたことです。それまではクルマにそんなものが装備できるなんてことも知りませんでしたが、方向音痴の私には非常に頼もしい存在でした。住んでいた地域が山岳地域(標高800mくらい)だったので、車で出かけると標高がどんどん変わります。
へたれが山道運転を試みるには最高の相棒
気温が100mにつき1度変わるという事をこの車を通して知りました。その気温も、クルマに乗ると具体的な数字が分かるのがとても新鮮でした。夏、冷涼20度前後の地域からちょっと下界に出かけると一気に30度、35度と上がります。冬、雪かきしながら今朝は寒いなあ、と気温を確かめたり。他の計器も見やすかったのですが、ダッシュボード中央に設置された上記計器類は自然と目に入ってきます。おかげで出かける範囲が広がりました。
元々都会育ちなので、パジェロミニ購入まで山道経験はありません。しかし、パジェロミニはへたれが山道運転を試みるには最高の相棒でした。なにせ軽自動車なので小さいです。かなりヤバそうなガタガタ道も入って行けます。私が生息していた地域は山の中なので、林業関係者が使う道がたくさんありました。
道路標示の見方もテキトーで、その道が奥に入るとどうなるかという予測をする能力もない私は、無謀にもドンドンそこにある道に入っていきました。もともと乗り手の感覚が歩いているのと同じなのに加えて、乗っているクルマもそれに合わせられる能力を持っていたおかげで色んなドライブが楽しめました。
ターボがついているおかげで、ドツボにはまって動けなくなるということもなく。ぬかるみに突っ込んでも平気ですし、雪道をヘタレが飛ばしても四駆状態では滑っても持ちこたえてくれます。小さいおかげで一度は道の真ん中できれいにクルっと回っただけで済んだこともあります。大きい車だとおそらく無事ではなかったと思われます。
パジェロミニが優秀だったおかげで
最初のクルマが優秀だったおかげで、その後に乗った他のクルマ(5速ミッション、四駆)でなめた運転でスリップして焦ることにもなりました。パジェロミニの車高が高かったおかげで気づかなかったような引っ掛かりでつまづくこともありました。
車高の高さと言えば、簡単に車の下に潜り込めるので知り合いに色々車の仕組みについて教えてもらうこともできました。そんなパジェロミニとずっと付き合っていきたかったのですが、数年後都市部への引越しと共に必要なくなり知り合いに譲渡しました。小さいくせして荷室が使いやすく、引越しの荷物も数往復で運ぶことができました。