ホンダは1981年11月、「シビック」より一クラス下に位置する新たなコンパクトカー「シティ」を発売しました。背の低いシビックとは対照的に小さな専有面積で優れた居住性を実現する「トールボーイデザイン」が採用された事や、最小スペースのメカニズムで最大限の機能を追求する設計思想が取り入れられた事が特徴の革新的モデルでした。
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居住性と空力特性を両立したボディ
ボディタイプは3ドアハッチバックで(後に2ドアカブリレオを追加)、ボクシーかつ背の高いプロポーションを持ちながらも、突起を極限まで減らしたフラッシュサーフェイスボディの採用によりCd値0.4の空力特性を実現していました。ボディサイズは全長3,380mm×全幅1,570mm×全高1,470mmで、シビック3ドアよりも全長が400mm程短い一方、全高は100mm以上高く設定されていました。
ホイールベースはシビック3ドアより僅かに短い2,220mmで、車両重量は635~685kgと軽量に抑えられていました。サスペンション形式は4輪ストラット式で、駆動方式はホンダ車のスタンダードともいえるFFでした。エンジンは新開発された1.2L直4SOHCのER型で、最高出力61ps/最大トルク9.8kgm、最高出力63ps/最大トルク10kgm、最高出力67ps/最大トルク10kgmの3種類の仕様が用意されました。
トランスミッションは4速/5速MTが標準で、オプションでOD付きトルコン式AT「ホンダマチック」が用意されました。室内はトールボーイデザインがもたらす優れた居住性や多彩なシートアレンジが特徴となる他、インパネは水平基調のシンプルなデザインが採用されました。発売当初のグレード体系は「R」「E」と、商用モデル「シティプロ」の「E」「T」が設定されました。
ホンダ シティのCM
低燃費グレードや副変速機付きグレードを追加
そして1982年8月に10モード燃費21km/Lを実現した低燃費仕様グレード「EⅠ」が、更に同年11月に全高を100mmアップしたハイルーフ仕様の「マンハッタンルーフ」が追加されました。次いで1985年3月に内外装の一部変更が行われると共に、量販車初となるF.R.Mアルミコンロッド採用の低燃費仕様エンジンを搭載し、10モード燃費が24km/Lまで向上した新グレード「E-Ⅲ」が追加されました。
同時に、「R」がプログレッシブ・コイルサスペンションの採用や装備の充実などの仕様変更を受けた他、「E」に代わるエントリーグレード「U」が設定されました。更に翌4月には、「R」に副変速機付き7速MTを搭載した「ハイパーシフト仕様車」が設定されました。これは4速MTをベースに2/3/4速に副変速機を設けたもので、車両の置かれた情況に応じ自動的に主変速機と副変速機が切り替わる方式でした。
そして1986年10月にフルモデルチェンジが実施され、2代目シティに移行しました。