グルメ指南書として定着したミシュランガイドですが、発行元のミシュランはタイヤメーカーです。タイヤメーカーがなぜグルメ本を作るようになったのでしょう? 日本では赤い表紙のミシュランガイド(ギド=ルージュ le Guide Rouge)が有名ですが、緑の表紙の旅行ガイド(ギド=ヴェール le Guide Vert)もあります。ミシュラン社が当初作ったのは旅行ガイドでした。
自動車旅行を推進する目的で作られた
1900年、自動車がまだ一般に普及していなかった頃に自動車旅行を推進する目的で地図やガソリンスタンド・ホテルなど自動車旅行者向けの情報が紹介されていました。ガソリンエンジンでダイムラーが特許を取ったのが1885年、ベンツがガソリンエンジンを改良して三輪自動車を作ったのも同じく1885年。1901年にアメリカで油田が発見されてようやくガソリンの供給が安定するようになった、と聞けば当時の自動車の希少性が想像できます。
赤いミシュランガイドは1930年代から
おなじみの赤いミシュランガイドは1930年代にレストラン・ホテルガイドとして登場しました。旅すれば食。星による格付けの始まりです。自動車所有は富裕階層の特権だった時代、掲載施設も高級なのにはうなずけます。当初は緑も赤もフランス国内を対象としていましたが、徐々に各国版および各国語版を作るようになり、日本を外国人に紹介する緑のミシュラン「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(フランス語・英語版)も2009年に発行されています。
タイヤを売るためにガイドブックを作った、ミシュラン。今必要なのはタイヤのミシュランガイドかもしれません。