三菱のミニバン「デリカD:5」は、2007年1月、13年に渡り生産が続けられた「デリカスペースギア」の後継モデルとして発売が開始されました。ミニバンでありながらSUVテイストを併せ持つ独自の個性をデリカスペースギアから継承しつつ、プラットフォームやパワートレインを一新するなどにより大幅なリフレッシュが図られました。
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全高を下げながらも最低地上高を確保
ボディ形状は、左右に後席用スライドドアを備え短いボンネットを持つセミキャブオーバー型トールワゴンで、スタイリングは直線を基調としたシンプルで外連味の無いデザイン処理を特徴とします。ボディサイズは全長4,730mm×全幅1,795mm×全高1,870mmで、デリカスペースギアのショートボディと比較すると全長と全幅が拡大された一方で、全高は100mm近く下げられました。
ホイールベースは2,850mmで、最低地上高は悪路走破性を重視した結果ミニバンとしては異例の210mmに設定されました。乗車定員は8人で、車両重量はデリカスペースギアから大幅に軽量化され1,770kg~1,800kgとなりました。サスペンション形式は前:マクファーソンストラット式/後:マルチリンク式で、ブレーキは前のみベンチレーテッド型の4輪ディスクブレーキが採用されました。
発売時はガソリン4WD車のみでスタート
駆動方式は、発売当初は3種類の走行モード切替機能を備える電子制御フルタイム4WDのみが設定されました。フロントに搭載されるパワーユニットは、2.4L直4DOHC MIVEC(可変バルブタイミング機構)仕様の4B12型エンジン(最高出力170ps/6,000rpm、最大トルク23kgm/4,100rpm)と、無段変速機「INVEX-Ⅲ CVT」の組み合わせでした。
インテリア面では、黒を基調とした機能的なデザインのインパネを持ち、保冷・保温機能付きのグローブボックスやロングスライド機構採用のセカンド&サードシートを標準装備する他、オプションで「トリプルパノラマルーフ」が設定されました。グレード体系は基本的に上級の「G」と標準の「M」の2種類で、他に「G」をベースにした派生グレードが設定されました。
FF車やディーゼル車などを追加設定
そして同年5月、FF車が追加されました。タイヤ/ホイールの変更により全高が45mm低く設定され乗降性を改善した他、最小回転半径が0.2m縮小され5.4mとなりました。又、車両重量が1,690kg~1,740kgと軽くなり、燃費も向上しました。同時に、エアロパーツや専用フロントグリル、17インチアルミホイールなどを装備する新グレード「ローデスト」が追加されました。
次いで2008年5月にマイナーチェンジを実施し、2列目キャプテンシート採用の7人乗り仕様が追加された他、装備が一部変更されました。そして翌2009年11月に、4WD車のみマイナーチェンジを実施し、エンジン及びCVTの制御変更により燃費が向上した他、内装デザインや装備の変更が行われました。
翌2010年1月にはFF車もマイナーチェンジを実施し、エンジンが2L直4DOHC MIVECの4B11型(最高出力150ps/6,000rpm、最大トルク20.1kgm/4,200rpm)に置換され燃費が向上した他、内外装が4WD車と統一されました。次いで2011年1月のマイナーチェンジにおいて、減速エネルギー回生機構の制御変更やFF車のパワートレイン改良により、燃費が更に向上しました。
更に同年12月のマイナーチェンジにおいては、FF車のエンジンが新開発の2L直4SOHC MIVECの4J11型(最高出力150ps/6,000rpm、最大トルク19.4kgm/4,200rpm)に置換され、アイドリングストップ機構の採用と相まって一段と燃費が向上しました。次いで2013年1月のマイナーチェンジでは、4WD車に2.2L直4ディーゼルの4N14型エンジン(最高出力148ps/3,500rpm、最大トルク36.7kgm/1,500~2,750rpm)が設定されました。
デリカ:D5は、販売台数の面ではベストセラーとまではいかないものの、居住性とヘビーデューティーな走行性とを併せ持つワン・アンド・オンリーな個性が評価され、一定数のユーザーを獲得しています。