日産の軽トールワゴン「デイズ」は、「オッティ」の後継車種として2013年6月に発売されました。オッティが三菱自動車からのOEM供給によるモデルであったのに対し、デイズは三菱自動車との共同開発という形で設計の段階から関与した事が相違点でした。同時に、プラットフォームやパワートレインも一新するなど、全面的に新設計されたモデルとなっています。
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ボディはアグレッシブに変身し、居住性も改善
スタイリングは、プレーンな箱型ボディであったオッティとは一変し、ウェッジシェイプのプロポーションとボディ側面のプレスラインにより、アグレシッブな雰囲気に変わっています。又、標準モデルとスポーティ指向のモデル「ハイウェイスター」の2ラインが設定され、後者は大型メッキフロントグリルやエアロパーツ、クリアタイプのリアコンビネーションランプなどにより差別化が図られています。
姉妹車種である三菱の「eKワゴン」と比較すると、基本的なスタイリングは共通ながら、フロントマスクやホイールのデザインなどが異なるものとなっています。ボディサイズは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,620mmで、全高がオッティより70mm高くなり、大半の立体駐車場に入庫可能であったメリットは失われました。プラットフォーム刷新に伴い、ホイールベースは90mm延長され2,430mmとなりました。
車両重量は、高張力鋼板の多用によりオッティと変わらない820kg~900kgに抑えられました。そして、室内長が190mm延長された事などにより、居住性が大幅に改善された点も特徴でした。又、後席用ドアは全車ヒンジ式となり、電動スライドドアの設定はなくなりました。サスペンション形式はオッティと同様で、前マクファーソンストラット式/後3リンク式のコンベンショナルな方式が踏襲されました。
新設計のパワートレインを搭載
エンジンは新開発の0.66L直3DOHCの3B20型で、発売当初はNAのみが用意され、最高出力49ps/最大トルク6kgmのスペックでした。同時にトランスミッションも一新され、オッティが3速/4速トルコン式AT及び5速MTの設定であったのに対し、副変速機付きCVT「エクストロニックCVT」に一本化されました。駆動方式はオッティ同様、FFとフルタイム4WDが用意されました。
又、一部グレードを除きアイドリングストップ機構を採用するなどの燃費改善対策により、オッティよりも燃費性能が遥かに向上しました。そして同年8月、ハイウェイスターにターボエンジン搭載グレードが追加されました。エンジンは3B20型にターボチャージャーを装着したもので、最高出力64ps/最大トルク10kgmと、NA車に対し大幅なパワーアップを実現しました。
トランスミッションはNA車と同様エクストロニックCVTで、FFと4WDが設定される点も同様でした。同時に、横滑り防止装置とトラクションコントロールを複合した「VDC」の装備や、フロントサスペンションにスタビライザー追加が行われた他、軽自動車として初となる駐車支援システム「アラウンドビューモニター」を標準装備するなど、NA車との差別化が図られました。
改良により燃費改善と安全装備の充実を実現
翌2014年7月に一部改良を行い、一部グレードを除くFF・NA車に「デイズルークス」に採用された「バッテリーアシストシステム」を採用し、燃費が従来の29.2km/Lから30km/Lへと向上しました。同時に、エンジンの改良やCVTのギア比変更により、加速性能の向上が図られました。
次いで同年12月、一部グレードを除き衝突被害軽減ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」が設定されました。デイズは、発売開始と共に受注が殺到し、その後も好調な販売を維持して軽自動車市場における同社のシェア拡大に貢献しました。同時に、販売不振の車種が多い日産車の中で、「ノート」や「セレナ」と並び屋台骨を支える貴重なベストセラーカーともなりました。