日産のクロスオーバーSUV「ジューク」は、2010年6月に発売が開始されました。既存のプラットフォームやパワートレインを流用した手堅い設計ながら、それまでにない奇抜で新感覚溢れるスタイリングを持ち、他に類を見ない個性派モデルとして話題を集めました。又、欧米でも販売され一定の人気を獲得しています。
キューブをベースに独特なボディを架装
プラットフォームは、コンパクトトールワゴン「キューブ」と共通のB型プラットフォームが採用されています。ボディサイズは全長4,135mm×全幅1,765mm×全高1,565mmで、全長と全幅はキューブより拡大され、全高はそれよりも低く設定されています。又、トレッドが全幅の拡大に伴い広げられた一方で、2,530mmのホイールベースは同一となっています。
車両重量は、キューブのエントリーグレード・FF車と同一の1,170kgで、このカテゴリーの車種としては意外な程軽量に抑えられています。サスペンション形式は、キューブと同様フロント/ストラット式、リア/トーションビーム式を踏襲し(但しリアサスペンションは別設計)、ブレーキも同様に前ベンチレーテッドディスク式/後ドラム式となっています。
スタイリングは、フロントマスク、サイドライン、リアビューなど何処を取っても、他のどの車にも似ていない強い個性を放つデザインが採用され、初めて見る者に強烈なインパクトを与えるものとなっています。又、5ドアハッチバックでありながら、後席用ドアノブがインビジブルタイプとなっている為、一見すると3ドア車のように見えるデザイン処理となっている点も特徴です。
パワートレインは高性能版追加で2種類に
発売当初、パワートレインは基本的にキューブと同一の、1.5L直4NAのHR15DE型エンジンとジャトコ製副変速機付きCVT「エクストロニックCVT」の組み合わせのみが設定されました。最高出力と最大トルクは114ps/15.3kgmで、キューブよりも5ps/0.2kgm高い数値となっています。駆動方式はFFのみで、キューブに用意されるフルタイム4WDの設定はありませんでした。
そして同年11月、1.6L直4ターボのMR16DDT型エンジンと6速マニュアルモード付の「エクストロニックCVT-M6」を搭載した高性能グレードが追加されました。スペックが190ps/24.5kgmと1.5L車よりも大幅にアップした他、リアブレーキがディスク式に変更されました。駆動方式はFFに加え、「ALL MODE 4×4-i」と呼ばれる新開発のトルクベクトル付フルタイム4WDが設定されました。
又、4WD車のリアサスペンションには、後輪の接地性を高める為マルチリンク式が採用されました。そして、FF・4WD共に、1.5L車には設定のなかったVDC(横滑り防止装置+トラクションコントロール)が装備された他、17インチの大径アルミホイールが採用されました。車両重量は1.5L車よりも増加し、1,290kg(FF)/1,380kg(4WD)となりました。
NISMOバージョン追加とマイナーチェンジで魅力アップ
次いで2013年2月に、1.6L 4WD車をベースにチューニングを施したグレード「NISMO」が追加されました。エンジンのスペックが200ps/25.5kgmまで高められると同時に、CVTが7速マニュアルモード付の「エクストロニックCVT-M7」に変更されました。又、専用エアロパーツの採用により走行性能が更に高められた他、専用フロントグリルや専用シートなどの採用などにより、内外装の差別化が図られました。
そして同年8月にマイナーチェンジを実施し、1.5L車にもVDCが装備されると共に、新たにアイドリングストップ機構が追加され燃費が向上しました。翌2014年7月には2度目のマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトにより外観のリフレッシュを図ると同時に、1.6L車の最大トルク発生回転数が下げられ燃費が改善された他、CVTがNISMO同様のCVT-M7に変更されました。
ジュークは、好き嫌いがはっきり分かれる個性的なスタイリングにも関わらず、発売当初は消費者から高い支持を受け販売は好調でした。しかし、現在は発売から年数が経過した事もあり、やや低迷傾向となっています。