ゼネラルモーターズ(GM)は1972年秋、ポンティアック・ブランドより新型小型乗用車「グランダム」を発売しました。プラットフォームは、同じポンティアック・ブランドの「グランプリ」やシボレー・ブランドの「モンテカルロ」などと共通の「Aボディ」で、ユーザーからは品質の高さや優れた操縦安定性などが評価されました。
独特なフロントマスクが特徴
ボディタイプは、センターピラー付ながらドアがサッシュレス仕様となる2ドアコロネードクーペおよび4ドアコロネードセダンがラインナップされました。エクステリア・デザインは、V字のプレスラインが入ったボンネットフードと、それに連続する鳥のくちばしのように突き出したフロントグリルが特徴でした。また、この独特なノーズ部分はウレタン製で、軽い衝突の場合に限り復元作用を持っていました。
ボディサイズは全長5,300mm(クーペ)/5,400mm(セダン)×全幅1,974mm×全高1,344mmで、ホイールベースはクーペが2,840mm、セダンが2,950mmでした。サスペンション形式は、フロントがスタビライザー付のダブルウィッシュボーン/コイル式、リアがトレーリングアーム・リジッド/コイル式で、駆動方式はコンベンショナルなFRが採用されました。
エンジンは6.6Lと7.5Lを用意
エンジンは、6.6L V8OHV2バレル・キャブレター仕様(最高出力172ps/最大トルク44.3kgm)が標準で、オプションで同じ排気量の4バレル・キャブレター仕様(シングルマフラー仕様:最高出力233ps・デュアルマフラー仕様:最高出力253ps)と、7.5L V8OHV4バレル・キャブレター(最高出力314ps)が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、3速トルコン式AT「ターボハイドロマチック」が標準となるほか、6.6L 4バレル・キャブレター仕様には4速MTがオプション設定されました。ステアリング形式はロック・トゥ・ロック3.3回転のギアレシオが備わるパワーアシスト付リサーキュレーティング・ボール式で、ブレーキはフロントにディスク式、リアにドラム式が採用されました。
また、ホイール&タイヤは7J×15インチホイールとGR70-15ラジアルタイヤの組み合わせが装着されました。一方インテリアは、3本スポーク式ステアリングホイールやランバーサポート付バケットシートが装備されるほか、オプションでエアコンやリアウィンドウデフォッガー、チルトステアリングホイール、タコメーターなどが用意されました。
そして翌1973年にフェイスリフトが実施され、フロントまわりやリアまわりの意匠変更や、インパネの素材変更が行われました。続く1974年には強化された排出ガス規制に対応するため、エンジンが触媒付のレギュラーガソリン仕様に変更されました。そして1975年に生産を終了、グランダムの車名は一旦ラインナップから消滅しました。