ゼネラルモーターズ(GM)は1967年、ポンティアック・ブランドより2+2仕様の新型スポーティカー(通称ポニーカー)「ファイヤーバード」を発売しました。すでに市場で大ヒットしていた「フォード・マスタング」への対抗馬と位置付けられたモデルで、シボレー・ブランドの「カマロ」とはプラットフォームや基本メカニズムを共有する姉妹車種の関係にありました。
ボディは2タイプ
プラットフォームはもともとカマロ用に開発された「Fボディ」が採用され、ボディタイプは2ドアハードトップクーペと2ドアコンバーチブルがラインナップされました。ボディシェルは基本的にカマロと共通で、同様にコークボトルラインを備えていた一方、フロントまわりやリアまわりは異なる意匠が採用されました。
ボディ・ディメンションは全長4,796mm×全幅1,844mm×全高1,303mm、ホイールベース2,746mmで、マスタングよりも若干大きいディメンションでした。駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは当初3.8L直6OHV(ベースグレード用:最高出力167ps/最大トルク29.9kgm・スプリント用:最高出力218ps/最大トルク31.8kgm)が標準でした。
そのほかに、オプションで2種類の5.3L V8OHV(最高出力253ps/最大トルク46kgmおよび最高出力289ps/最大トルク49.7kgm)と6.6L V8OHV(最高出力330ps/最大トルク56.7kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、3速/4速のMTと2速/3速のトルコン式ATが設定されました。また、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式が採用されました。
デビュー翌年にエンジンを拡大
ブレーキは前後とも241mm径のドラム式で、ホイール&タイヤは6J×14インチホイールとE70×14タイヤの組み合わせでした。その後、1968年モデルでサイドマーカーランプの追加などエクステリアの小変更が施されるとともに、標準の直6エンジンが4.1L(ベースグレード用:最高出力177ps/最大トルク33.1kgm・スプリント用:最高出力218ps/最大トルク35.3kgm)に拡大されました。
同時に、オプションの5.3L V8エンジンも5.8L(最高出力269ps/最大トルク49kgmおよび最高出力324ps/最大トルク52.5kgm)に拡大されたほか、6.6L V8エンジンにラムエアー・ヘッド仕様(最高出力340ps/最大トルク59.5kgm)が追加されました。ラムエアー・エンジン搭載車は、ボンネット上のエアスクープにより他のモデルとの識別が可能でした。
次いで1969年モデルでは、フェイスリフトによりフロントマスクをメインとする内外装デザイン変更が実施されるとともに、リアスポイラーが備わるボディに6.6Lラムエアー・エンジンを搭載するハンドリングパッケージ「トランザム」が設定されました。そして翌1970年に早くもフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。