ゼネラルモーターズ(GM)は2004年、ポンティアック・ブランドより2+2仕様の新型スポーティカー「GTO」を発売しました。GTOの車名を持つモデルとしては、1974年に登場した4代目GTO以来30年ぶりの復活となりました。ボディサイズの割に排気量の大きいエンジンを搭載する「マッスルカー」の流儀が守られたものの、凡庸なスタイリングやエンジン性能などが災いし、商業的には失敗に終わりました。
ボディは2ドアクーペのみ
「GM Vボディ」と呼ばれるプラットフォームに架装されるボディは、オーストラリアのホールデン社が製造する「モナーロ」をベースとした2ドアクーペのみの設定でした。スタイリングは曲線基調のオーソドックスかつ大人しいもので、過去のGTOを彷彿とさせるディテールは取り入れられませんでした。
ボディ・ディメンションは全長4,821mm×全幅1,842mm×全高1,397mm、ホイールベース2,789mmで、歴代のGTOと比較すると一回りコンパクトでした。駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは当初、「シボレー・コルベット」にも搭載されるアルミブロック&ヘッド仕様の5.7L V8OHVが搭載されました。
しかし、特別なチューニングは施されていなかったため、スペックは最高出力355ps/5,200rpm・最大トルク50.5kgm/4,000rpmとマッスルカーとしては物足りない数値でした。組み合わせられるトランスミッションは、6速MTまたは4速トルコン式ATでした。サスペンションは4輪独立懸架式で、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック3回転のラック&ピニオン式が採用されました。
また、ブレーキはフロントが297mm径のベンチレーテッド・ディスク式、リアが287mm径のソリッド・ディスク式で、タイヤは前後ともP225/50R17が装着されました。その後、同じモデルイヤーに専用フロントグリルやボンネットフード上のエアスクープ、大型リアスポイラーが備わるディーラー・オプション「スポーツ・アピアランス・パッケージ」が設定されました。
排気量を拡大
次いで2005年モデルでは、エアスクープの標準化やデュアル・マフラーの採用といったエクステリアの小変更が実施されました。それと同時にV8エンジンの排気量が6Lに拡大され、アウトプットが最高出力406ps/5,200rpm・最大トルク55.3kgm/4,000rpmまで向上しました。さらにこのモデルイヤーの後半に、18インチタイヤの選択が可能となりました。
次いで2006年モデルでは、内外装のごく小規模な変更やボディカラーの変更が行われました。そして2006年2月、後継モデルがリリースされることなく早くも生産が打ち切られました。総生産台数は、4万台余りに留まりました。