ゼネラルモーターズ(GM)は1961年、ポンティアック・ブランドより新型小型乗用車「テンペスト」を発売しました。オールズモビル・ブランドの車種とボディシェルの一部を共有していたものの、理想的な前後重量配分をもたらすトランスアクスル・レイアウトや4輪独立懸架式のサスペンションなど、それとは異なる先進的なメカニズムを備えていました。
エンジンは直4が標準
「オールズモビル・F-85」や「ビュイック・スペシャル」などと共通の「Yプラットフォーム」に架装されるボディは、当初4ドアセダンと「サファリ」と呼ばれる5ドアステーションワゴンの2種類のラインナップでした。エクステリア・デザインは、ボディ側面に入れられたエッジの効いたキャラクターラインと、2分割された楕円形のフロントグリルを特徴としていました。
ボディ・ディメンションは全長4,808mm×全幅1,834mm×全高1,359mm、ホイールベース2,845mmで、当時のポンティアック・ブランド車としては最小でした。駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは燃費性能に優れた3.2L直4OHVが標準でした。2種類のシングルバレル・キャブレター仕様と1種類の4バレル・キャブレター仕様が設定され、最高出力はそれぞれ112ps、142ps、157psとなっていました。
また、そのほかにオプションでアルミニウム製の3.5L V8OHV「ビュイックV8」(最高出力218ps)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、コラムシフト式の3速MTまたは2速トルコン式ATでした。ブレーキは前後とも241mm径のドラム式で、タイヤはポンティアック・ブランドのモデルとしては小径の14インチが装着されました。
クーペとコンバーチブルを追加
その後、同じモデルイヤーの末に2ドアクーペがラインナップに加えられました。このクーペには、前席がバケットシート仕様となる「ル・マン」パッケージが設定されていました。次いで1962年モデルで新たに2ドアコンバーチブルが追加され、4タイプのボディ・ラインナップが完成しました。
続く1963年モデルでは、トランスアクスルに改良が施されるとともにボディサイズが若干拡大されました。同時に、オプションのエンジンが3.5L V8OHVから鋳鉄製の5.3L V8OHV(最高出力264ps)に変更されました。このエンジンに組み合わせられるトランスミッションには、3速および4速のトルコンATが設定されていました。
また、このモデルイヤーに「スーパーデューティ」と名付けられたコンペティション・モデルが製造されました。そして翌1964年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。