ゼネラルモーターズ(GM)のポンティアック・ブランドから1961年にリリースされた乗用車「テンペスト」は、1964年に3年ぶりのフルモデルチェンジを受け、2代目モデルに移行しました。ボディサイズの拡大により小型車クラスから中型車クラスに移行した一方で、先進的なメカニズムが廃止されオーソドックスな成り立ちとなりました。
プラットフォームを一新
プラットフォームは、それまでの「Yプラットフォーム」から「Aボディ」に変更されました。当初のボディタイプは、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、2ドアクーペ、2ドアハードトップ、2ドアコンバーチブルの5タイプのラインナップでした。エクステリア・デザインは一新され、アクのないプレーンなイメージに変貌しました。
ボディ・ディメンションは全長5,248mm×全幅1,890mm×全高1,397mm、ホイールベース2,921mmで、先代から一回り以上拡大されました。駆動方式はFRが踏襲された一方、理想的な前後重量配分に貢献していたトランスアクスル・レイアウトが廃止され、トランスミッションをエンジンの近くに配置するオーソドックスなメカニズムが採用されました。
エンジンは直6とV8の2種類
エンジンは、それまでの3.2L直4に代わり3.5L直6OHV(最高出力142ps)が標準となりました。そのほかに、オプションで先代譲りの5.3L V8OHVが用意されました。こちらは、シングルバレル・キャブレター仕様(最高出力254ps)と4バレル・キャブレター仕様(最高出力284ps)の2種類が設定されていました。
これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、コラム式3速MTとフロア式4速MT、および2速トルコン式AT「スーパータービン」が設定されました。また、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式で、ブレーキは前後とも241mm径のドラム式が装備されました。ホイール&タイヤは、5J×14インチホイールと7.75×14タイヤの組み合わせでした。
4ドアハードトップを追加
グレード体系は、ベースグレードのほかに「カスタム」と「ル・マン」が設定されていました。その後、1965年モデルでマイナーチェンジが実施され、縦配列の4灯式ヘッドランプや分割されたフロントグリルが採用されたほか、テールランプやトランクフードの造形も変更されました。次いで1966年モデルでは大掛かりなマイナーチェンジが実施され、当時流行していたコークボトルラインが取り入れられました。
同時に、新たなボディ・バリエーションとして4ドアハードトップが追加されたほか、標準エンジンが3.8L直6SOHC(最高出力167ps)に置き換えられました。続いて1968年モデルでは、ヘッドランプが初期型同様の横配列に変更されました。同時に、標準の直6エンジンが4.1Lに、オプションのV8エンジンが5.8Lにそれぞれ拡大されました。
そして1970年をもって、後継モデルのリリースもないまま生産終了となりました。