富士重工業は1969年8月、デビュー以来11年が経過し商品力が低下していた「スバル 360」に代わる新型軽自動車「スバル R-2」を発売しました。基本メカニズムは360譲りながら、居住性の向上や十分なトランクスペースの確保など、実用性のさらなる向上が図られました。後にバリエーション拡大が図られたものの人気は低迷、360よりも遥かに短命に終わりました。
空冷エンジン+RR方式を踏襲
モノコック構造を踏襲するボディのバリエーションは、当初2ドアセダンのみが用意されました。スタイリングは卵型のフォルムが特徴的だった360に対し、相対的にボクシーかつ近代的なイメージに変貌しました。また、三角窓が廃止されたことも変更点のひとつでした。ボディサイズは全長2,995mm×全幅1,295mm×全高1,345mmで、360から全高が10mm高められました。
また、ホイールベースは360よりも120mm長い1,920mmに設定され、ボディ形状の変更と相まって居住性の向上に一役買いました。車両重量は430kgで、360から僅かな増加に留められていました。サスペンション形式は4輪セミトレーリングアーム/トーションバー式が踏襲され、駆動方式もRRが踏襲されました。
リアに搭載されるエンジンは、360に搭載された空冷360cc2ストローク2気筒のEK30型をベースに、アルミ合金製シリンダーブロックやリードバルブを採用したEK33型が搭載されました。当初はシングルキャブレター仕様のみの設定で、スペックはEK32型に対し最高出力が5psアップの30ps、最大トルクが0.2kgmアップの3.7kgmでした。
トランスミッションは、4速に多段化されるとともにフルシンクロ化されたMTのほか、360同様に「オートクラッチ」と呼ばれる電磁クラッチ式2ペダルMTも用意されました。ブレーキは4輪ドラム式で、ステアリング形式はラック&ピニオン式が採用されました。当初のグレード体系は、下から「スタンダード」「デラックス」「デラックスオートクラッチ付」「スーパーデラックス」のラインナップでした。
スバル R-2の紹介動画
ツインキャブ車や水冷エンジン搭載車を追加
そして翌1970年2月に3ドアバンが追加され、追って同年4月にはスポーティ・グレードとして、パワージェット付キャブレターの採用によりアウトプットを最高出力32ps/最大トルク3.8kgmに高めた「スポーティデラックス」と、ソレックス・ツインキャブレターの装備により最高出力36ps/最大トルク3.8kgmのアウトプットを発生する「SS」が追加されました。
次いで1971年10月に人気低下対策としてマイナーチェンジが実施され、内外装デザインの刷新と同時に水冷化されたEK34型シングルキャブレター仕様エンジン(最高出力32ps/最大トルク4.1kgm)を搭載する「L」シリーズが追加されました。しかし、人気の回復にはつながらず、1972年7月に実質的な後継モデル「レックス」が登場するとLシリーズは早くもカタログ落ちし、翌1973年2月に全車生産終了となりました。
スバルR-2の前身
スバルR-2の実質的な後継モデル