富士重工業は1961年2月、同車初の軽商用車となる初代「スバル・サンバートラック」を発売、追って同年9月に「サンバーライトバン」が追加されました。1958年にリリースされた軽乗用車「スバル・360」と共通のエンジンを採用すると共に、駆動方式やサスペンション形式も踏襲され、商用車らしからぬ乗り心地の良さや過積載に対する強さ、登坂能力の高さなどを持ち味としました。
ラダーフレーム型シャシーを採用
車体の構造は強度を重視した結果、フルモノコックボディのスバル・360と異なりラダーフレーム型シャシーにボディを架装する方式が採用されました。ボディ形状は当時の軽商用車には珍しかったキャブオーバー型で、ボンネット型やセミキャブオーバー型と比較して衝突安全性の面で不利であった半面、視界の良さや荷台・荷室長が大きく取れるメリットがありました。
又、当初トラックは低床2方開仕様のみの設定で、ライトバンはテールゲートを持たない1+2ドア仕様でした。スタイリングは機能性を重視したものながら、フロント廻りからホイールハウスへと続くナックルラインがデザイン上のアクセントになっていました。ボディサイズは、全長2,990mm×全幅1,295mm×全高1,520mmという当時の軽自動車規格に準じたものでした。
ホイールベースはスバル・360より130mm短い1,670mmに設定され、車両重量はトラックでスバル・360より40kg程重い425kgでした。乗車定員はトラックが2名、ライトバンが4名で、最大積載量は前者が350kg、後者が250kgでした。サスペンション形式は、4輪トレーリングアーム/トーションバー式による4輪独立懸架で、スプリングレートはスバル・360より高められていました。
ギアレシオをスバル・360よりローギアード化
車体後部の荷台・荷室下にマウントされるエンジンは、強制空冷式2ストローク360cc直列2気筒のEK31型で、スペックはスバル・360と同一の最高出力18ps/最大トルク3.2kgmでした。トランスミッションは3速MTで、荷物積載時に配慮しスバル・360よりもギアレシオが下げられていました。RR方式+ローギアードな設定によるトラクション性能や加速性能の高さは、ユーザーから好評を博しました。
一方で、雪道での挙動の不安定さが問題視された為、程なく前後重量配分を改善すべく燃料タンクが後方に移動されました。又、トラックは荷台の長さに対する不満の声が寄せられた為、荷台の延長が実施されました。そして翌1961年3月には、ライトバンにテールゲートが備わる4ドア仕様が追加されました。追って同年12月にマイナーチェンジが実施され、運転席側のみだったドアミラーが助手席側にも装着されました。
同時に、ライトバンにフロントシートをベンチ化し、メッキバンパーやメッキホイールキャップ、ホワイトリボンタイヤが備わる「デラックス」が追加された他、トラックにもベンチシートが採用されました。次いで1964年10月の一部改良で、エンジンが最高出力20psのEK32型されると共にベンチレーターの位置が下方に移動されました。同時に、トラックに完全分離潤滑方式「スバルマチック」を採用した二段低床式仕様が追加されました。
そして1966年1月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。