フェラーリは1971年に、同社初となるバンク角180度のV12エンジンを搭載したミッドシップ・スーパーカー「365GT4/BB」をリリース、更にそれから5年後の1976年のパリサロンで、排気量を拡大したリファイン版の「512BB」を発表しました。365GT4/BBに引き続き市販車最速モデルのポジションを維持すると共に、実用トルクの増大により扱い易さが増した事が特徴でした。
365GT4/BBからボディ素材などを変更
ボディタイプは365GT4/BB同様フィクスドヘッドクーペのみの設定で、ピニンファリーナの手によるスタイリングにも大幅な変更はありませんでした。しかし、ボディの素材がそれまでのマグネシウムとFRPからアルミニウムに変更された他、フロントスポイラーやNACAダクトの追加、テールランプを6灯式から4灯式に変更、エグゾーストパイプを6本出しから4本出しに変更といったディテール面の相違がありました。
ボディサイズは全長4,400mm×全幅1,830mm×全高1,120mmで、365GT4/BBから全長が40mm、全幅が30mmと僅かながらも拡大されました。又、ホイールベースは同一の2,400mmとなる一方で、車両重量は280kg増加し1,515kgとなりました。ミッドシップマウントされるV12DOHCエンジンは、ロングストローク化により排気量が365GT4/BBの4.4Lから4.9Lへと拡大されました。
出力は低下した一方トルクが向上
4基のウェーバーキャブレターと9.2:1の圧縮比から発生するアウトプットは、最高出力355HP/6,200rpm・最大トルク45.9kgm/4,600rpmで、365GT4/BBの最高出力375HP/7,200rpm・最大トルク44kgm/3,900rpmから最高出力が20HP低下した半面、最大トルクは1.9kgm向上しました。トランスミッションは同じく5速MTを採用するものの、ファイナルも含めギアレシオは異なっていました。
最高速度は365GT4/BBと同一の302km/hで、ライバルの「ランボルギーニ・カウンタック」を2km/h凌いでいました。その他、4輪ダブルウィッシュボーン式のサスペンション形式や、ラック&ピニオン式のステアリング形式、4輪ベンチレーテッド式ディスクブレーキなどの基本メカニズムが365GT4/BBから踏襲されました。
一方ホイールとタイヤは、365GT4/BBが4輪とも7.5L×15ホイール+215/70VR15タイヤの組み合わせであったのに対し、リアが9J×15ホイール+225/70VR15タイヤにワイド化されました。そして1981年に米国の強化された排出ガス規制に対応する為、それまでのウェーバー・キャブレターをボッシュKジェトロニック燃料噴射装置に置き換えた「512BBi」にマイナーチェンジされました。
スペックは最高出力が15HPダウンの340HP/6,300rpm、最大トルクは0.1kgmアップの46kgm/4,200rpmとなり、同時に5速MTのギアレシオが変更されました。この変更に伴い、最高速度は280km/hに低下しました。そして1984年に、後継モデル「テスタロッサ」に後を譲り生産終了となりました。