ボルボ・カーズは1996年のパリ・サロンにおいて、ミディアムセダン/ワゴン「850」をベースとした2ドア4シーター・クーペ「C70」を発表しました。同社のこのカテゴリーとしては、1990年に生産終了となった「780ベルトーネ」以来のリリースでした。更に、追って電動ソフトトップが備わる4シーター・カブリオレが追加されました。
空力特性に優れたボディ
スタイリングは角張った850とは対照的な、曲線を取り入れた流麗なフォルムが特徴でした。又、空力特性にも優れCd値0.28を実現していました。ボディサイズは全長4,720mm×全幅1,820mm×全高1,410mmで、850よりも長く広く、そして低いディメンションとなっていました。ホイールベースは共通の2,664mmで、サスペンション形式もフロント:ストラット式/リア:デルタリンク式が踏襲されました。
駆動方式もFFを踏襲し、エンジンは当初、過給圧の異なる2種類の2L直5ターボ(最高出力180ps/最大トルク22.4kgm・最高出力225ps/最大トルク31.6kgm)、2.3L直5ターボ(最高出力240ps/最大トルク33.7kgm)、2.4L直5ターボ(最高出力193ps/最大トルク27.5kgm)のガソリン4種類が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MT又は4速トルコン式ATでした。
安全装備が充実
安全装備面では、運転席&サイドエアバッグシステムやABSの他、ボルボ独自のむち打ち症対策安全シート「WHIPS(ウィップス)」が採用されました。そして前述のカブリオレが登場したのは、翌1997年の事でした。ボディサイズやパワートレインはクーペと共通であったものの、ボディ補強に伴い車両重量は100kg以上増加していました。
その後5速トルコン式ATが追加された後、2002年にクーペが廃止されました。残るカブリオレは翌2003年にマイナーチェンジを受け、フロントグリルの意匠変更やエンジンの改良などが実施されました。そして2005年、電動メタルトップを持つクーペカブリオレに進化した2代目モデルにバトンタッチされました。
初代C70の日本市場への初上陸は1997年5月で、当初は2.3Lエンジン+4速AT搭載の「T-5」のモノグレード設定でした。そして翌1998年9月に、廉価グレードとして2.4Lエンジン+4速AT搭載の「2.5T」が追加されました(1999年7月にグレード名を「2.4T」に変更)。次いで2000年8月、2.4TのATが5速化されると共に、T-5はカタログ落ちしました。
次いで2001年3月、クーペと入れ替わる形で2.4Lエンジン+5速AT搭載のカブリオレが上陸を果たしました。続いて2002年10月に仕様変更が実施され、エンジンのアウトプットが最高出力200ps/最大トルク29.1kgmに向上しました。次いで2004年7月、フェイスリフト版に切り替えられると共に、グレードが2.3Lエンジン+5速AT搭載の「T-5クラシック」に変更されました。