シトロエンは、戦後に入ると1948年に大衆車「2CV」を、1955年に高級車「DS」を発売したものの、その中間を埋めるモデルを持たない事が問題となっていました。そこで、2CVのコンポーネンツを流用してそれよりも一クラス上に位置する小型車「アミ」を開発、1961年に発売しました。奇抜なスタイリングであったもののすぐに大衆に受け入れられ、後に2CVを凌ぐ人気モデルとなりました。
クリフカットが特徴のボディ
ボディ形状は2CVと異なり、独立したトランクルームを持つ3ボックス型4ドアセダンでした。デザインを手掛けたのは2CVやDSと同様チーフデザイナーであったベルトーニで、居住性とトランクスペースを両立させる為、Cピラーが逆に傾斜したユニークな「クリフカット」が採用されました。初期型「アミ6」のボディサイズは全長3,865mm×全幅1,521mm×全高1,485mmで、2CVよりも長く広く低いディメンションを持っていました。
又、2CVから前後関連懸架の4輪リーディングアーム式サスペンションを踏襲した為、ホイールベースも同一の2,400mmでした。車両重量は150kg近く増加し、640kgとなりました。駆動方式は2CVと同様FFで、フロントフードには2CV用の425cc空冷フラットツインOHVをベースに排気量を602ccまで拡大したエンジンが搭載されました。スペックは、2CVのおよそ5割増しとなる最高出力20hp/最大トルク4.1kgmを発生しました。
ワゴンボディや高性能版を追加
4速MTを介しての最高速度は、空力特性に優れたボディの効果で2CVよりも30km/h高い105km/hに達しました。そして1963年に最高出力を25.5hpにアップし、翌1964年にはワゴンボディの「ブレイク」と、ボディ後半部分をパネルバン仕様とした「コメルシアル」が追加されました。更に1966年、電装系が6Vから12Vに変更されました。
次いで1967年には、エンジンがリニューアルされ同一排気量ながら最高出力が35hpとなり、最高速度は125km/hに向上しました。そして1969年にマイナーチェンジを受け「アミ8」となり、セダンがファーストバックボディに変身するなどエクステリア面での大掛かりな変更が施されました。ボディサイズは全長が3,990mmに拡大され、車両重量は725kgまで増加しました。
続いて1973年には、1970年に発売された小型車「GS」と同一の1,015cc空冷フラット4SOHCエンジン(最高出力61hp/最大トルク7.4kgm)を搭載し、フロントにディスクブレーキを装備するスポーティモデル「アミシュペール」が追加されました。車両重量は更に増加し805kgに達したものの、最高速度140km/hの動力性能を備えていました。
その翌年の1974年に、シトロエンは経営難によりライバルメーカーであったプジョーの傘下に入りました。その流れの中で、1976年にアミと同クラスとなる「プジョー104」の姉妹車種「ヴィザ」が発売された事を受け、同年をもって生産終了となりました。