マセラティは2001年のフランクフルト・ショーで、新型2シーター・ソフトトップカブリオレ「マセラティ・スパイダー」を、次いで2002年のデトロイト・ショーでは、そのフィクスドヘッド版となる4シータークーペ「マセラティ・クーペ」を発表しました。共に1998年に登場した2+2クーペ「3200GT」の後継モデル及びそのオープン版として位置付けられ、パワートレインの刷新などリファインが図られました。
リアコンビネーションランプの意匠を変更
エクステリア・デザインは、3200GT同様にジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインにより行われ、スタイリングは3200GTの雰囲気を色濃く残すものの、特徴的なブーメラン形状のリアコンビネーションランプはオーソドックスな意匠に改められました。クーペのボディサイズは全長4,523mm×全幅1,822mm×全高1,305mmで、3200GTより僅かに大きいだけで実質的に同一でした。
又、ホイールベースは同一の2,660mmで、車両重量は80~90kg増加し1,670~1,680kgとなっていました。一方スパイダーは、それよりも全長・ホイールベース共に220mm短く、車両重量は50kg重い1,720~1,730kgでした。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンの形式を踏襲しつつ、新たに電子制御ダンパー「スカイフック」が採用されました。
その他、4輪ベンチレーテッド・ディスク式のブレーキやフロント:8.0J×18+235/40ZR18/リア:9.5J×18+265/35ZR18のホイール&タイヤサイズは3200GTと共通でした。駆動方式はFRを踏襲するものの、トランスアクスルレイアウトの採用により前後重量配分が改善され、3200GTの54:46に対しクーペが52:48、スパイダーが53:47となりました。
新開発のNAエンジンを搭載
エンジンは一新され、それまでの3.2L V8DOHCツインターボ(最高出力370ps/6,250rpm・最大トルク50kgm/4,500rpm)から、フェラーリ主導の元で新開発された4.2L V8DOHC NA(最高出力390ps/7,000rpm・最大トルク45.1kgm/4,500rpm)に変更されました。トランスミッションは3200GTと同様の6速MTに加え、新たにパドルシフトで操作する6速セミAT「カンビオコルサ」が設定されました。
MT仕様のパフォーマンスは、最高速度がクーペは285km/h、スパイダーは283km/hで、0-100km/h加速は共に4.9sでした。3200GTと比較すると最高速度は3~5km/h向上し、0-100km/h加速は0.2s短縮されていました。一方インテリアは、基本的なデザインは3200GTを踏襲するものの、新たに5.8インチ液晶モニターとそれを使用したインフォテインメント・システム「マセラティ・インフォ・センター」が採用されました。
そして2007年に、後継モデル「グラントゥーリズモ」にバトンタッチして生産終了となりました。日本市場には、スパイダーが2001年10月、クーペが2002年5月から導入されました。