車好きの間では超小型モビリティが密かな話題になっています。超小型モビリティは、軽自動車よりも更に小さい規格の自動車で、規格を策定した国土交通省では、少子高齢化社会に相応しい次世代の乗り物として位置付けています。
高齢者の足としての用途を重要視。環境負荷の低減も
特に、高齢者の足としての用途が重要視されているのが特徴です。高齢になると様々な感覚が衰える為、車の運転が億劫になる事がありますが、車体サイズの小さい車なら運転の負担が少ないという訳です。又、小型軽量であれば、移動に伴うエネルギーの消費が少なくなる点も、メリットとして強調されています。
具体的な規格としては、車体サイズは軽自動車の規格内である事、乗車定員は2名以下である事、動力はモーターの場合は最高出力8kW以下、エンジンの場合は排気量125cc以下である事などが規定されています。自動車としての最小規格は、ミニカー規格(原動機付4輪自動車)ですが、そのミニカーと軽自動車の間を埋める規格になる訳です。
各地で実証実験を展開
現段階では、日産やトヨタなどの試作モデルが既に公道を走行していますが、一般ユーザーへの市販はされておらず、専ら地方自治体などによるレンタルでの利用に限られます。この超小型モビリティのメリットは、前述のように車体のコンパクトさに伴う乗り易さや、省エネ性能に優れる点にあります。
又、更に車体がコンパクトなミニカーと比較すると、2名乗車が可能な為利便性が高く、動力性能にも余裕がある為安心して運転出来るメリットがあります。こうした利点のある超小型モビリティですが、問題点もあります。
トヨタ車体のコムス。こちらはミニカー規格(50cc以下または定格出力0.6kW以下)
課題は価格と安全性
まず、商品として販売する場合は、価格が最大の懸案事項になります。ここで、ミニカーの場合を例に挙げると、価格は80万円から90万円ほどします。これは、軽自動車の廉価グレードと同等の価格で、車格の違いを考慮すると如何にも割高感があります。
大量生産・大量販売が望めない為、それが価格に反映されてしまった結果ですが、車体や動力源が一回り大きい超小型モビリティの場合、それよりも更に高価になってしまう可能性が高くなります。従って、如何にして量販化を実現し、コストダウンに繋げるかが、大きな課題となります。
リスクと背中合わせになる可能性
次に、安全性への不安解消が課題として挙げられます。超小型モビリティは、車体サイズが小さく構造も簡便な為、乗員の安全性を十分確保するには困難が伴います。フランスには、これに類似した規格の超小型車が存在しますが、衝突時の乗員の生存率は普通車の4分の1というデータが残っています。この為、超小型モビリティの運転も、リスクと背中合わせになる可能性があります。
しかし、もしこうした課題が克服されるなら、次世代の乗り物として広く普及する可能性も持っています。