ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1985年、コンパクトクラスと呼ばれていたW123型に代わるニューモデル、W124型を発売しました。当初は通称「ミディアムクラス」と呼ばれていたものの、モデル末期に「Eクラス」と命名されました。W123型からボディの空力特性が改善され、乗用車としてトップレベルのCd値0.3を実現した他、サスペンション形式が一新された事が特徴でした。
角ばった独自のスタイリング
ボディタイプは当初4ドアセダンのみのラインナップで、そのスタイリングは1983年にW123型の弟分としてデビューした「190」シリーズの流れを汲むものでした。ボディサイズは全長4,740mm×全幅1,740mm×全高1,445mmで、W123型から全長が15mm拡大された一方、全幅は40mm縮小されました。又、ホイールベースは5mm延長され2,800mmとなりました。
駆動方式は従来同様のFRで、搭載エンジン及びグレード体系は、当初ガソリンは2L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力109ps)の「200」、同燃料噴射仕様(最高出力124ps)の「200E」、2.3L直4SOHC燃料噴射仕様(最高出力134ps)の「230E」、2.6L直6SOHC燃料噴射仕様(最高出力170ps)の「260E」、3L直6SOHC燃料噴射仕様(最高出力191ps)の「300E」5タイプがラインナップされました。
一方ディーゼルは、2L直4SOHC(最高出力72ps)の「200D」、2.5L直5SOHC(最高出力95ps)の「250D」、3L直6SOHC(最高出力111ps)の「300D」の3タイプのラインナップでした。トランスミッションは、4速/5速MT及び4速トルコン式ATが設定されました。又、サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式からストラット式に、リアはセミトレーリングアーム式からマルチリンク式に変更されました。
ワゴンやクーペを追加
そして翌1986年、1年遅れてステーションワゴンの「T」シリーズがフルモデルチェンジを受け、ライナップに加わりました。こちらのグレード体系は、ガソリンの200T/200TE/230TE/300TEとディーゼルの200TD/250TD/300TD、そして300TDのターボ版300TD TURBO(最高出力143ps)が設定されました。次いで1987年には、更なるバリエーションの拡充が図られました。
W123型にも用意されていた2ドアクーペ「C」シリーズ(230CE/300CE)と、ロングボディ・ロングホイールベース仕様の「リムジン」が新型にリニューアルされラインナップに加わった他、同社初のフルタイム4WD方式「4MATIC」採用モデル(セダン260E/300E/300D TURBOとワゴン300TE/300TD TURBO)が設定されました。
エンジンをリニューアル
次いで1990年、新設計のガソリン3L直6DOHC24Vエンジン(最高出力220ps)を搭載するセダン「300E-24」/ワゴン「300TE-24」/クーペ「300CE-24」が追加されました。続いて1991年には、セダンの高性能バージョンとしてガソリン5L V8DOHCエンジン(最高出力325ps)を搭載する「500E」と、4L V8DOHCエンジン(最高出力285ps)を搭載する「400E」が加わりました。
又、同じ年にソフトトップコンバーチブルの「カブレオレ300CE-24」が追加になりました。次いで1993年にガソリン4気筒及び6気筒エンジンのラインナップが一新され、4気筒車は2L DOHC(最高出力136ps)搭載の「200E」と2.2L DOHC(最高出力150ps)搭載の「220E」、6気筒車は2.8L DOHC(最高出力193ps)搭載の「280E」と3.2L DOHC(最高出力220ps)搭載の「320E」というグレード体系になりました。
続いて1994年に車名がEクラスに変更されると共に、グレード名の頭にEの文字が入った一方、電子燃料噴射仕様を意味する末尾のEは廃止されました(例:200E→E200)。そして1995年にフルモデルチェンジが実施され、2代目W210型Eクラスに移行しました。