ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1983年9月のフランクフルト・ショーにおいて、前年にリリースした同社最小の4ドアセダン「190」シリーズの高性能バージョンとなる「190E 2.3-16」を発表しました。英国のレーシングチューナー「コスワース」がこのモデルの為に開発した専用エンジンを搭載し、優れた走行性能によりレースにおいても好成績を残しました。
控えめながら戦闘的なエクステリア
エクステリア面では、前後のスポイラーやサイドスカート、オーバーフェンダーの装着により、プレーンなフォルムにレーシーな雰囲気が付加されました。又、空力特性も改善され、Cd値はベースモデル「190/190E」より0.01ポイント低い0.32となりました。ボディサイズは全長4,430mm×全幅1,706mm×全高1,361mmで、190/190Eより10mm長く28mm広く、そして26mm低いディメンションとなりました。
ホイールベースは共通の2,665mmで、車両重量は130~150kg重い1,230kgでした。駆動方式はFRを踏襲、エンジンは2.3L直4DOHC電子燃料噴射仕様で、10.5:1の圧縮比から最高出力185ps/6,200rpm・最大トルク24kgm/4,500rpmのアウトプットを発生しました。この最高出力の数値は、同時に発表された「190E 2.3」の2.3L直4SOHCエンジンを50ps上回るものでした。
ハイドロニューマチックサスを採用
動力性能も高く、5速MTを介して最高速度232km/h・0-100km/h加速7.8sのパフォーマンスを発揮しました。この性能を支えるサスペションは、形式こそベースモデルと同様のフロント:ストラット式/リア:マルチリンク式ながら、強化スプリング/ダンパーが与えられると共に、リアに油圧式のハイドロニューマチック自動車高調整装置が採用されました。
又、動力性能に見合ったストッピングパワーを与えるべく、ブレーキは大径ローター採用の4輪ディスク式(フロントはベンチレーテッド型)が奢られた他、ABSが標準装備されました。同時にホイール&タイヤサイズもワイド化され、7J×15インチホイールと205/55VR15タイヤの組み合わせが装着されました。追って4速トルコン式AT仕様を追加、こちらは最高速度が225km/hへと若干低下しました。
次いで1998年に排気量が2.5Lに拡大された「190E 2.5-16」に進化、アウトプットは最高出力207ps/6,750rpm・最大トルク24.5kgm/5,000-5,500rpmまで高められ、動力性能は最高速度235km/h・0-100km/h加速7.5sに向上しました。190E 2.3-16は日本市場にも導入されたものの、その時期は本国での発表から3年が経過した1986年になってからでした。
又、日本の厳しい排出ガス規制をクリアする為キャタライザーが装着され、エンジンのアウトプットは最高出力175ps/5,800rpm・最大トルク22.9kgm/4,750rpmへと若干ドロップしました。そして1988年に190E 2.5-16(※日本仕様は最高出力200ps/6,750rpm・最大トルク24.5kgm/5,000rpm)に切り替えられました。