ダイハツ工業は1951年10月、4人乗りの3輪乗用車「Bee」を発売しました。貨物登録のオート3輪車を主力製品としていた同社として初の乗用登録車で、専用設計のシャシーをはじめ、当時の国産車としては先進的なメカニズムが採用されました。しかし、製品としての完成度に難があった為商業的には成功せず、翌1952年までに少量が生産されたに留まりました。
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前1輪・後2輪のレイアウトを採用
車輪のレイアウトはオート3輪車と同様前1輪・後2輪で、ボディタイプは3ボックス型の2ドアセダンでした。スタイリングは曲線基調の流麗なフォルムが備わる他、前1輪の3輪車らしく絞り込まれたフロントノーズや張り出したリアフェンダーなどが特徴でした。又、同時代の他の自動車と同様方向指示器はウインカーランプではなく、セマフォー(腕木式方向指示器)が装備されました。
ボディサイズは全長3,950mm×全幅1,480mm×全高1,440mm、ホイールベースは2,400mmで、同時代の国産4輪乗用車「トヨペット・SA型乗用車」に匹敵するディメンションでした。一方、車両重量は800kgと軽量で、SA型の2/3程度に抑えられていました。駆動方式はRRで、プロペラシャフトが存在しない事による低床・低重心設計がアピールされていました。
リアに搭載されるエンジンは、このモデルの為に開発された強制空冷式水平対向2気筒OHVツインキャブレター仕様の2HA型で、最高出力13.5psの540cc版と最高出力18psの804cc版が存在しました。3速MTを介しての最高速度は、カタログ上で前者が70km/h、後者が78km/hでした。
ダイハツ Beeの走行シーン
独立懸架式リアサスペンションを採用
サスペンション型式は、フロントは一般的なオート3輪車と同様リジッドフォーク+ボトムリンク/コイル式を採用する一方、リアは当時の国産車では珍しかったダブルウィッシュボーン/コイル式による独立懸架方式が採用されました。ブレーキは当時のオート3輪車と同様、フロントには備わらず、リアのみに油圧ドラム式が装備されました。又、タイヤは5.00-16サイズが装着されました。
最小回転半径は前1輪の3輪車に相応しく3.8mと小さく、小回り性能に優れていました。車両価格は55万円で、91万円に設定されていたトヨペット・SA型乗用車などと較べれば相対的に安価だったものの、大卒者の初任給が3千円程度であった当時において絶対的には極めて高額な商品でした。その為、主要なユーザー層は一般ユーザーではなくタクシー業界でした。
しかし、過酷なタクシー用途においては足回りの強度に問題があり、破損事故が続出した為評判は悪く、短期間で退役に追い込まれる結果となりました。現存する個体は極めて少なく、存在が確認されている物で僅か3台となっています。
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