ルノーは1990年5月、2代目「5」(シュペール5)の後継モデルとなるBセグメント・コンパクトカー「クリオ」を発表しました。基本メカニズムは5譲りながら、ボディサイズの拡大と共に内外装デザインが一新されました。優れたトータルバランスにより1991年度の欧州カーオブザイヤーに輝いた他、フランス国内ではベストセラーカーとなりました。日本では「ルーテシア」の名前で販売されました。
サスペンション形式は5から踏襲
ボディタイプは3ドア及び5ドアハッチバックのラインナップで、スタイリングは直線基調のボクシーなフォルムとグリルレスのフロントマスクが特徴でした。ボディサイズは全長3,790mm×全幅1,616mm×全高1,360mmで、シュペール5から全長・全幅が拡大された一方、全高は若干低められました。ホイールベースは2,472mmで、シュペール5から幾分延長されていました。
駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは当初1.2Lシングルキャブレター仕様(最高出力54ps/最大トルク8.5kgm)、同電子燃料噴射仕様(最高出力54ps/最大トルク8.5kgm)、1.4L電子燃料噴射仕様(最高出力75ps/最大トルク10.9kgm)、1.7L電子燃料噴射仕様(最高出力90ps)、1.8L電子燃料噴射仕様(最高出力88ps/最大トルク14.5kgm)の5種類のガソリン直4SOHCが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。又、サスペンション形式はシュペール5同様、フロントにマクファーソンストラット式、リアにトレーリングアーム/トーションバー式が採用されました。グレード体系は、下から「RL」「RN」「RT」「バカラ」のラインナップでした。
DOHCエンジン搭載の高性能モデルを追加
そして翌1991年、ガソリン1.8L直4DOHC16Vエンジン(最高出力135ps/最大トルク16.1kgm)を搭載する「16S/16V」と、ディーゼル1.9L直4SOHCエンジン(最高出力64ps/最大トルク12kgm)を搭載する「1.9d」が追加されました。更に1993年、ガソリン2L直4DOHC16Vエンジン(最高出力147ps/最大トルク17.8kgm)を搭載するラリー競技用ホモロゲーションモデル「クリオ・ウィリアムズ」がリリースされました。
次いで1994年のフェイスリフトにより、内外装の意匠を変更したフェイズ2に移行しました。続いて1996年の2度目のフェイスリフトによりフェイズ3となり、フロント廻りの意匠変更と共にガソリン1.1L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力54ps/最大トルク9.5kgm)が追加されました。そして1998年にフルモデルチェンジが実施され、2代目「クリオⅡ」に移行しました。
日本市場にはガソリン車のみが輸入されました。まず1991年10月に、1.4Lエンジン搭載3ドアのRN/バカラと3/5ドアのRT、そして1.8L DOHCエンジン搭載3ドアの「16V」が上陸しました。次いで1995年11月、フェイズ2に切り替えられると共に運転席SRSエアバッグシステムが標準化されました。
同時にグレード体系も変更され、1.4Lエンジン搭載3/5ドアの「RN1.4」、1.8L SOHCエンジン搭載3/5ドアの「RT1.8」と5ドアの「バカラ」、1.8L DOHCエンジン搭載3ドアの「16V」のラインナップとなりました。続いて1997年9月にフェイズ3に切り替えられると共に、グレードが1.4Lエンジン搭載3/5ドアの「RN」に一本化されました。