フェラーリは「360モデナ/スパイダー」の後継モデルとして、同じくMR方式を採用したベルリネッタ「F430」を2004年のパリ・サロンで、追ってオープン・ボディの「F430スパイダー」を2005年のジュネーブ・ショーで発表しました。プラットフォームがリファインされボディ剛性がアップした他、排気量拡大や電子デバイス導入による走行性能の向上が図られました。
フロント/リア廻りのデザインを変更
ボディのデザインは360モデナ/スパイダー同様ピニンファリーナの手により行われ、スタイリングは前作の面影を残すものの、フロント廻りとリア廻りの意匠がより迫力あるものとなりました。ボディサイズは全長4,512mm×全幅1,923mm×全高1,214mm(ベルリネッタ)/1,234mm(スパイダー)で、360モデナ/スパイダーと大差ないディメンションが維持されました。
ホイールベースは同一の2,600mmで、車両重量はベルリネッタが360モデナから20kg増しの1,450kg、スパイダーが360スパイダーから130kg増しの1,520kgとなっていました。ミッドに搭載されるV8DOHCエンジンは360モデナ/スパイダーから一新され、排気量が0.7L大きい4.3Lとなりました。スペックは最高出力で89HP、最大トルクで9.4kgm上回る483HP/8,500rpm・47.4kgm/5,250rpmを発生しました。
トランスミッションは6速MTの他に、360モデナ/スパイダーに引き続き「F1マチック」と呼ばれる6速セミATが用意されました。F1マチック搭載車は「F430 F1」及び「F430スパイダーF1」と呼ばれ、MT車と区別されました。ベルリネッタのパフォーマンスは、最高速度が360モデナから20km/hアップの315km/h、0-100km/h加速は0.5s短縮され4sとなりました。
スタビリティコントロールや電子制御ディファレンシャルを採用
一方スパイダーは、最高速度がそれより4km/h低く、0-100km/h加速は0.1s遅いタイムでした。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲されると共に、新たに電子制御ダンパーが採用されました。同時にスタビリティコントロールの「ASR」や、電子制御ディファレンシャルの「E-Diff」が採用され、走行性能と共に扱い易さの向上が図られました。
又、ホイール&タイヤはパワーアップに対応する為、360モデナ/スパイダーのフロント:7.5J×18ホイール+215/45ZR18タイヤ/リア:10J×18ホイール+275/40ZR18タイヤから、フロント:9J×19ホイール+225/35ZR19タイヤ/リア:13J×19ホイール+285/35ZR19タイヤへとインチアップ及びワイド&扁平化が図られました。
そして2007年のフランクフルト・モーターショーで、ベルリネッタをベースに更なる高性能化を図った「430スクーデリア」が発表されました。ボディは車高が15mmローダウンされると共に、車両重量が100kg軽い1,350kgに軽量化されました。更にエンジンにも手が加えられ、アウトプットが最高出力503HP/8,500rpm・最大トルク47.9kgm/5,250rpmまで向上しました。
トランスミッションはF1マチックのみの設定で、最高速度はベースモデルから5km/hアップの320km/h、0-100km/h加速は0.4s短縮された3.6sというパフォーマンスを発揮しました。その後F430シリーズは、2009年に後継モデル「458イタリア」にバトンタッチされ生産終了となりました。