ルノーは1981年9月のフランクフルト・ショーにおいて、商業的には失敗に終わった「14」に代わる新型小型乗用車「9(ヌフ)」を発表しました。世界戦略車として開発され、当時傘下に収めていた米国の自動車メーカーAMCでも「アライアンス」の車名で生産・販売が行われました。又、追ってプラットフォームなどを共有する派生モデル「11(オンズ)」もリリースされました。
4ドアセダンボディを採用
ボディタイプは、14が2ボックス型5ドアハッチバックであったのに対し、コンサバティブな3ボックス型4ドアセダンとなりました。スタイリングも個性的な14とは対照的な、直線基調のオードドックスなフォルムが採用されました。ボディサイズは全長4,080mm×全幅1,650mm×全高1,405mmで、14から全長・全幅が若干拡大されました。
又、ホイールベースは左右で異なっていた14に対し、左右同一の2,480mmとなりました。サスペンション形式は、14同様のフロント:マクファーソンストラット式・リア:トレーリングアーム/トーションバー式が採用され、駆動方式も横置きFFが踏襲されました。一方、エンジンのラインナップは14から一新されました。
自社製のエンジンを採用
プジョー/ルノー/ボルボ3社共同開発によるガソリン直4SOHCに代わって用意されたのは、ルノー・オリジナルの1.1L直4OHV(最高出力48hp)及びチューニングの異なる3種類の1.4L直4OHV(最高出力60hp/68hp/72hp)でした。トランスミッションは4速/5速MTに加え、14には設定のなかった3速トルコン式ATが設定されました。
当初のグレード体系は、1.1Lエンジン搭載の「L」、1.4L 60hpエンジン搭載の「TL」、同68hpエンジン+AT搭載の「オートマチック」、同72hpエンジン搭載の「GTS」のラインナップでした。そして翌1982年、米国市場においてアライアンスの販売が開始されました。一方本家の9は、1983年1月に1.6L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力55hp)を搭載する「GTD」が追加されました。
追って同年春に、2ボックス型の4ドア+ガラスハッチ付ボディを持つ11が発売されました。更に同年秋、9/11共にガソリン1.7L直4SOHCエンジン(最高出力81hp)を搭載する「GTX」が、翌1984年にはガソリン1.4L直4OHVターボエンジン(最高出力105hp)を搭載する「ターボ」が追加されました。次いで1986年、9/11共にフェイスリフトが実施され、ヘッドランプの形状などが変更されました。
同時に、ガソリン1.1Lエンジンに代わり1.2L直4SOHCエンジン(最高出力55hp)が設定された他、ガソリン1.4Lターボエンジンにインタークーラーが装着され、最高出力が115hpに向上しました。そして1987年、ルノーがAMCをクライスラーに売却した事に伴いまずアライアンスが生産終了となり、本家の9も翌1988年に後継モデル「19」にバトンタッチして生産を終了しました。