1974年に、ポルシェ初のターボエンジン搭載モデルとしてデビューしたスポーツカー「911ターボ」は、1990年に次世代の964型にバトンタッチされました。先代930型からのキープコンセプトであったものの、パフォーマンスに一段と磨きが掛けられると同時に、足回りに変更が施されました。
トーションバーに代わりコイルスプリングを採用
2+2シーター仕様を踏襲する2ドアクーペボディのエクステリア・デザインは、基本的なフォルムに大きな変更はなかったものの、フロントまわりの意匠が丸みを帯びた流麗なものとなりました。また、空力特性の指標となるCd値は0.37を実現していました。ボディサイズは全長4,250mm×全幅1,753mm×全高1,308mmで、930型からわずかに縮小されました。
ホイールベースは実質的に同等の2,272mmで、車両重量は130kgほど増加し1,467kgとなりました。駆動方式はRRを踏襲し、エンジンは空冷3.3L水平対向6気筒SOHCボッシュKジェトロニック燃料噴射ターボがキャリオーバーされました。圧縮比は930型と同一の7:1ながら、タービンの変更などにより最高出力は34psアップの320ps/5,750pmへと大幅な向上を果たしました。
また、最大トルクも7.5kgm大きい45.9kgm/4,500rpmとなっていました。930型同様の5速MTを介してのパフォーマンスは、最高速度270km/h・0-100km/h加速5sでした。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがセミトレーリングアーム式で、スプリングはそれまでのトーションバー式からコイル式に変更されました。
また、ラック&ピニオン式を踏襲するステアリングは、パワーアシスト付となりました。ブレーキはフロントが320mm径、リアが299mm径の4輪ベンチレーテッド・ディスク式となるほか、新たにABSが装備されました。また、ホイール&タイヤは大径化・ワイド化が図られ、フロントが7J×17インチホイール+205/50ZR17タイヤ、リアが9J×17インチホイール+255/40ZR17タイヤの組み合わせとなりました。
さらに高性能な3.6L版が登場
その後1992年に、「カレラ2/4」用の3.6L水平対向6気筒SOHC NA仕様をベースにターボ化したエンジンを搭載する「ターボ3.6」がリリースされました。アウトプットは最高出力385ps/5,750rpm・最大トルク53kgm/5,000rpmとなり、パフォーマンスは最高速度280km/h・0-100km/h加速4.8sに向上しました。
また、性能向上に伴いホイール&タイヤはより大径かつワイドなものを採用、フロントが8J×18インチホイール+225/40ZR18タイヤ、リアが10J×18インチホイール+265/35ZR18タイヤの組み合わせとなりました。次いで1994年、ターボ3.6をベースにスラントノーズを採用した「ターボ3.6スラントノーズ」が追加されました。そして翌1995年に、993型911ターボにバトンタッチされました。
964型911ターボは、日本市場においては1991年2月から正規輸入が開始されました。