トヨタ「プリウス」は、世界で初めてのハイブリッド量販車として、1997年12月に発売されました。ハイブリッドシステムのみならず、ボディやプラットフォームはプリウス専用に新設計されたものでした。ボディは4ドアセダンのみが用意され、スタイリングは空気抵抗軽減を配慮した流麗なボディラインが特徴でした。
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カローラクラスのボディにスプリット方式のハイブリッドシステムを搭載
ボディサイズは、全長4,275mm×全幅1,695mm×全高1,490mmで、全長と全幅の数値は同社の小型車「カローラ」に近く、居住性を重視した為全高が10cm程高く設定されていました。車両重量は、ハイブリッドユニットの重量が嵩む為、カローラよりも300kg近く重い1,240kgでした。サスペンションは、前ストラット式/後トーションビーム式の手堅い方式が採用されていました。
パワートレインは、スプリット型のハイブリッドシステムが搭載されました。この方式は、他の方式よりも構造が複雑で高度な制御を要する一方、総合効率に優れるメリットがあります。トランスミッションは、システムの方式上通常のCVTではなく、電子式の無段変速機が組み合わせられました。トヨタではこの方式を「トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)」と称し、他のハイブリッドモデルにも受け継がれました。
THSは、アトキンソンサイクルを採用した1NZ-FX型1.5L直4エンジンと交流同期型モーターで構成され、エンジンの最高出力と最大トルクは58ps/10.4kgmで、モーターの最高出力は30kwでした。駆動方式は、このクラスの小型車として一般的なFF方式が採用されました。
低燃費を実現し、各方面で高評価
バッテリーはニッケル水素型が採用され、エンジンで駆動する発電機により充電され、減速時にはエネルギー回生によっても充電されました。燃費は28km/Lと当時としては大変優秀で、20km/Lを超えれば低燃費車と言われた時代に、この数値は傑出したものでした。
インテリア面では、デジタル式メーターを備えるセンターメーター方式が採用され、アバンギャルドな雰囲気を醸していました。センターメーターの採用は、メーター確認時の視線移動を少なくする為のアイデアでしたが、結果的に新世代の乗用車に相応しいデザインとなりました。
初代プリウスは、その先進性と環境性能の高さが専門家筋から高く評価され、1997年の日本カーオブザイヤーと1998年のRCJカーオブザイヤーに輝きました。又、スタイリング面の評価も高く、1998年度のグッドデザイン賞に選定されるなど、各方面から賞賛を受けました。
マイナーチェンジで加速性能と燃費が向上
2000年5月にマイナーチェンジを受けて型式が変わり、パワートレインが改良されました。エンジンの最高出力と最大トルクが72ps/11.7kgmに、モーターの最高出力が33kwに向上し、加速性能が改善されると共に、燃費も向上し29km/Lとなりました。又、北米への輸出開始に伴い、現地の安全基準をクリアする為前後のバンパー形状が変更され、全長が35mm延長されると共に、リアスポイラーが新設されました。
そして、バッテリーが小型化された事に伴いトランクルームのスペースが拡大すると共に、リアシートが4:6の分割式となるなど、使い勝手も更に向上しました。次いで2002年8月には、ハイブリッドシステムの制御が改善され、燃費が31km/Lまで向上しました。そして、2003年9月を持って販売が終了し、2代目モデルへとバトンタッチされました。