GM(ゼネラルモーターズ)から1961年に「フォード・ファルコン」への対抗馬としてリリースされたコンパクトカー「シボレー・シェビーⅡ」は、1968年に実施された2度目のフルモデルチェンジにより、車名が従来の一グレードであった「ノヴァ」に改められました。同時に、従来から基本設計やスタイリングが一新されました。
ボディを2タイプに整理
ボディタイプは、2ドアセダン、2ドアハードトップ、5ドアステーションワゴンが廃止され、4ドアセダンと新設定された2ドアクーペの2タイプとなりました。スタイリングは直線基調だったシェビーⅡから一転し、曲線基調のグラマラスなフォルムが採用されました。ボディサイズは、全長4,811mm×全幅1,839mm×全高1,369mm(セダン)/1,331mm(クーペ)でした。
先代の2代目シェビーⅡからは全長と全幅が拡大され、全高は低められました。また、ホイールベースは若干延長され2,819mmとなりました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは2.5L直4OHV、3.1L直6OHV、3.8L直6OHV、4.1L直6OHV、5L V8OHV、5.4L V8OHV、5.7L V8OHV、6.5L V8OHVが用意されました。
これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションには、4速MTと2速および3速のトルコン式ATが設定されました。サスペンションはフロントが独立懸架/コイル式、リアがリジッド・アクスル/リーフ式で、ブレーキは4輪ドラム式が標準でした。トップグレードはシェビーⅡ時代同様「SS」で、エンジンは5.7L V8(最高出力295hp)と6.5L V8(最高出力350hp/375hp)が用意されました。
M/Cでさまざまな改良を実施
その後1969年に、SSにフロント・ディスクブレーキが標準化(それまではオプション扱い)されました。次いで1971年、マルチリーフ式リアスプリングや専用ホイール、専用ストライプなどが備わる「ラリーキット」が設定されました。続いて1973年にマイナーチェンジが実施され、フロントグリルやリアクォーターウィンドウの意匠が変更されるとともに、衝撃吸収バンパーが採用されました。
さらにクーペはボディが一新され、3ドアハッチバックとなりました。また、機構面でもリアサスペンションの改良やサイド・ドア・ビームの追加、ベンチレーション・システムの改善など、さまざまなリファインが施されました。次いで1974年、衝撃吸収バンパーの大型化などエクステリアが一部変更されるとともに、シートベルト・インターロック回路が採用されました。
そして同年をもって生産を終了、翌1975年に2代目ノヴァ(初代シェビーから通算すると4代目)にバトンタッチされました。初代ノヴァは、車体の割に大排気量のエンジンを搭載していたため燃費性能が劣っており、石油ショックの煽りを受けて販売面では低迷しました。