日産自動車は1971年8月に4代目「ブルーバード」となる「ブルーバードU(610型)」をリリースしたものの、それまでより車格が上がり「サニー」とのギャップが開いた為、3代目ブルーバード(510型)もバリエーションを整理した上で継続販売されました。そして1年半近くが経過した1973年1月、510型ブルーバード直系の後継車種となる「バイオレット(710型)」が登場しました。
曲線基調のスタイリングに変貌
ボディタイプは当初、510型ブルーバード同様の2ドア/4ドアセダンの他、新たに2ドアハードトップがラインナップされ、追って5ドアバンも追加されました。スタイリングは、直線基調のプレーンな510型ブルーバードから一転、当時の流行を追った曲線基調かつ複雑なプレスラインを取り入れたフォルムに変貌しました。
ボディサイズは全長4,120mm×全幅1,580mm×全高1,375~1,425mmで、510型ブルーバードから若干拡大され、ホイールベースは30mm延長され2,450mmとなりました。サスペンション形式は、フロントは全車マクファーソンストラット式を踏襲、リアはスポーティグレード「SSS」系のみセミトレーリングアーム/コイル式を踏襲し、それ以外はコストダウンの為リジッド・リーフ式に変更されました。
エンジンは510型ブルーバード譲り
駆動方式はFRを踏襲、エンジンは510型ブルーバードからのキャリオーバーで、当初1.4L直4SOHCシングルキャブレター仕様のL14型(最高出力85ps/最大トルク11.8kgm)と、1.6L直4SOHCシングルキャブレター仕様(最高出力100ps/最大トルク13.5kgm)及びSUツインキャブレター仕様(最高出力105ps/最大トルク13.8kgm)のL16型が用意されました。
追って、L16型の電子燃料噴射仕様版となるL16E型(最高出力115ps/最大トルク14.6kgm)が追加になりました。組み合わせられるトランスミッションは、4速/5速MTと3速トルコン式ATが設定されました。グレード体系は、下から「1400STD(※セダンのみ)」「1400DX」「1400GL」「1600DX」「1600GL」「1600SSS」「1600SSS-E」がラインナップされました。
ブレーキは1400STDのみ4輪ドラム式で、それ以外はフロントにディスク式が採用されました。そして1974年9月の一部改良でセダンのリアコンビネーションランプの意匠が変更され、翌1975年9月及び10月に全車が昭和50年排出ガス規制に適合しました。次いで1976年2月のマイナーチェンジにより、1.6L車が昭和51年排出ガス規制に適合しました。
同時に、4ドアセダンのフォルムが後方視界改善の為ファストバックからノッチバックに変更された一方で、2ドアセダンは廃止になりました。追って同年5月、1.4L車も昭和51年排出ガス規制に適合しました。そして1977年5月にフルモデルチェンジが実施され、2代目A10型に移行しました。