1973年に日産店から510型「ブルーバード」の後継車種としてデビューした小型車「バイオレット」は、1977年5月に4年ぶりのフルモデルチェンジを受け、2代目A10型に移行しました。先代からスタイリングが一新された他、バッジエンジニアリングとして同時に日産チェリー店から「バイオレットオースター」が、同年8月に日産サニー店から「スタンザ」が発売され、3姉妹となりました。
3ドアクーペを新設定
国内仕様のボディタイプは、先代同様の4ドアセダンと5ドアバンの他、2ドアハードトップに代わりテールゲートが備わる3ドアクーペ「オープンバック」が新設定されました。一方輸出仕様には、2ドアセダンもラインナップされた他、バンの代わりに5ドアステーションワゴンが用意されました。
エクステリアデザインは曲線基調の先代から一転し、510型ブルーバードに回帰したような直線基調のフォルムが採用されました。又、オープンバックに衝撃吸収バンパーが採用された点も特徴でした。セダンのボディサイズは全長4,080mm×全幅1,600mm×全高1,390mmで、先代から僅かに短く広く低いディメンションとなりました。又、ホイールベースは50mm短縮され2,400mmとなりました。
バンを除きリアサスペンションを変更
サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラット式を踏襲する一方、リアはセミトレーリングアーム/コイル式又はリジッド・リーフ式から、4リンク・リジッド式に変更されました。但し、バンのみリアに先代同様のリジッド・リーフ式が採用されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは昭和51年排出ガス規制に適合した直4SOHCのL型がキャリオーバーされました。
ラインナップは、1.4L直4SOHCシングルキャブレター仕様のL14型、1.6L直4SOHCシングルキャブレター仕様のL16型、同EGE仕様のL16E型の3種類が用意されました。当初は後述のようにスポーティグレードが設定されなかった事に伴い、トランスミッションは5速MTが廃止され4速MTと3速トルコン式ATの設定となりました。
発売時のグレード体系は、セダンが下から1400STD/1400DX/1400GL/1600DX/1600GL/1600GL-L/1600GL-EL、クーペが1400DX/1400GL/1600GL/1600GL-L/1600GL-ELのラインナップで、先代の「SSS」系に相当するスポーティグレードは設定されず、タコメーター装着車も用意されませんでした。
そして翌1978年5月の一部改良で昭和53年排出規制に適合すると共に、1.6Lエンジンのラインナップがシングルキャブレター仕様のL16S型/Z16S型及びEGI仕様のZ16E型に変更されました。追って同年9月には、5速MTとタコメーターを採用したスポーティグレード1600GX/1600GX-ELが追加されました。次いで1979年6月のマイナーチェンジにより、ヘッドランプが丸型4灯式から角型4灯式に変更されました。
同時に1.8L直4SOHCシングルキャブレター仕様のZ18型エンジン及び同EGI仕様のZ18E型エンジン搭載車が追加され、1.4L車はカタログ落ちしました。そして1981年6月にフルモデルチェンジが実施され、後継車種「バイオレットリベルタ」(T11型)に移行しました。