1973年に日産店から510型「ブルーバード」の後継車種としてデビューした小型車「バイオレット」は、1981年6月に4年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け、T11型「バイオレットリベルタ」に移行しました。駆動方式がそれまでのFRからFFに変更され、室内スペースやラゲッジスペースが拡大されたものの、販売期間僅か1年という短命モデルに終わりました。
5ドアハッチバックを新設定
ボディタイプは3ドアクーペと5ドアバンが廃止され、4ドアセダンと新たに設定された5ドアハッチバックの2タイプとなりました。スタイリングは直線基調のボクシーなフォルムを採用しながらも、Cd値0.38(セダン)の優れた空力特性を実現していました。ボディサイズは全長4,300~4,405mm×全幅1,655~1,665mm×全高1,390mmで、全高を除き先代A10型バイオレットから一回り拡大されました。
又、ホイールベースは70mm延長され2,470mmとなりました。サスペンション形式は、先代のフロント:ストラット式/リア:4リンク・リジッド式(バンのみリジッド・リーフ式)から、4輪ストラット式独立懸架に変更されました。又、ステアリング形式はパワーアシスト付のラック&ピニオン式で、ブレーキは全車に前輪ディスク式が採用されました。
小型・軽量な新エンジンを採用
エンジンはそれまでのL型に代わり、小型・軽量化を図った新世代の直4SOHCユニットCA型が採用されました。ラインナップは、1.6Lシングルキャブレター仕様のCA16型(最高出力90ps/最大トルク13.6kgm)、1.8Lシングルキャブレター仕様のCA18型(最高出力100ps/最大トルク15.2kgm)、同EGI仕様のCA18E型(最高出力110ps/最大トルク16.5kgm)の3種類が用意されました。
トランスミッションは先代同様、4速/5速MTと3速トルコン式AT「ニッサンマチック」が設定されました。グレード体系は、セダンは下から1600T-DX/1600DX/1600GL/1600GF/1800GL/1800SX/1800ZX-Eの7タイプが、ハッチバックは1600GL/1600GF/1800GL/1800SX/1800ZX-Eの5タイプがラインナップされました。
装備面では、1800GL/1800ZX-Eに電動リモコン式フェンダーミラー、カセットデッキ付カーオーディオ、デジタル時計、フューエルリッドオープナー、ポケット付アームレスト、バニティミラー付サンバーザー、シートベルト警告灯などが、更に1800ZX-Eには運転席エア式ランバーサポート、ワンタッチ式パワーウィンドウ、各ランプ警告灯、マップランプなどが標準装備されました。
又、タイヤは1600GF/1800SXに165SR13サイズの、1800ZX-Eに185/70SR13サイズのラジアルタイヤが採用されました。そして1982年6月、N12型「パルサーセダン」をベースとした実質的な後継車種「リベルタ」がデビューすると同時に、生産終了となりました。