かつてイギリスに存在していた自働車ブランド、MGは、ローバー・グループ傘下にあった1992年8月のロンドン・ショーにおいて新型2シーター・スポーツカー「RV8」を発表、翌1993年に販売を開始しました。1962年から1980年にかけて生産された「MGB」をベースに開発されたモデルで、同ブランドのスポーツカーとしては13年ぶりのリリースとなりました。
MGBからスタイリングを一部変更
ボディタイプは、3ドア・ハッチバック・クーペも用意されたMGBと異なり、2ドア・ロードスターのみの設定でした。スタイリングは基本的にMGBのイメージを受け継ぎながら、大型化されたエンジンを収めるためボンネットフードとフロントフェンダーがリデザインされていました。また、細部のディテールもモダナイズが図られました。
ボディサイズは全長4,010mm×全幅1,570mm×全高1,310mmで、MGBから一回り拡大されていました。また、ホイールベースも若干長い2,330mmに設定されました。車両重量は1,130kgで、4気筒エンジン搭載のMGBからは200kgほど重くなったものの、1990年代の基準ではライトウエイトスポーツの範疇に収まるものでした。
大排気量V8エンジンを搭載
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンはローバー製の3.9L V8OHV電子燃料噴射仕様(最高出力193ps/4,750rpm・最大トルク32.4kgm/3,200rpm)が搭載されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTのみの設定でした。動力性能は最高速度217km/h・0-60mph加速5.9sで、スポーツカーの名に恥じないものでした。
サスペンション形式は、MGB同様のフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:リジッド・リーフ式で、リア・サスペンションは1990年代の基準では古色蒼然としたものでした。しかしながら、リーフ・スプリングの改良やトルク・ロッドの追加などのリファインは施されていました。また、リア・ディファレンシャルにはトルセンLSDが組み込まれていました。
ステアリング形式は、MGB同様パワーアシストを持たないラック&ピニオン式で、ブレーキはフロントに270mm径のディスクローターが備わるベンチレーテッド・ディスク式が、リアに229mm径のドラム式が採用されました。また、タイヤは前後とも205/65VR15が装着されていました。室内は、レザーシートやウォールナットのインパネなどが備わるラグジュアリーな仕様となっていました。
装備面では、アルミホイールやリアフォグランプ、エアコンなどが標準装備されました。そして1995年、ミッドシップレイアウトを採用した新型スポーツカー「MGF」がデビューしたことにともない、生産終了となりました。総生産台数は2千台で、そのうちの8割近くが日本に輸入されました。