1980年に「シルヴァーシャドウⅡ」に代わる主力高級セダンとしてリリースされた「シルヴァースピリット」は、それまでの同社製モデルのイメージを一新するスタイリングが特徴でした。そして1989年に開催されたフランクフルト・モーターショーにおいて、サスペンションやインテリアなどを改良したマイナーチェンジ版の「シルヴァースピリットⅡ」が発表されました。
燃料噴射システムを変更
ボディタイプはそれまでと同様4ドアセダンのみのラインナップで、シャープなフォルムや角型ヘッドランプを持つエクステリア・デザインにも大きな変更は加えられませんでした。また、全長5,268mm×全幅1,887mm×全高1,485mm、ホイールベース3,061mm、トレッド1,537mm(前後とも)のボディ・ディメンションもそれまでと同一でした。
一方で、車両重量は100kgほど増加し2,350kgとなっていました。エクステリア面での数少ない変更点として、ウレタン塗装が採用されたことが特徴でした。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンも6,750ccV型8気筒OHVがキャリオーバーされました。ただし、ボッシュ製の燃料噴射システムは、それまでのKジェトロニックから最新のLモトロニックに変更されていました。
電子制御ダンピングコントロールシステムを採用
圧縮比は8:1で、最高出力の数値は引き続き同社の方針により公表されませんでした。トランスミッションは、当初は従来同様GM製の3速AT「ターボハイドラマチック」との組み合わせで、最高速度205km/h・0-100km/h加速10sのパフォーマンスを発揮しました。サスペンションは、形式上はフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:セミトレーリングアーム/コイル式による4輪独立懸架が踏襲されました。
しかしながら、新たに電子制御タンピングコントロールシステムの「オートライドコントロール」が採用されたことが従来からの大きな変更点となっていました。一方で、ブレーキはそれまでの4輪ベンチレーテッド・ディスク式から、リアがソリッド・ディスク式にダウングレードされました。また、タイヤは235/70-15というサイズが踏襲された一方、HR規格からVR規格に格上げされました。
インテリア面では、インパネやステアリングホイールの意匠が変更されるとともに、シートなどに高級なコノリーレザーが採用されました。また、安全装備としてSRSデュアルエアバッグシステムやABSが、快適装備として前席パワーシートやクルーズコントロールなどが標準装備されました。その後1992年に、ATが4速に多段化されました。
そして翌1993年に再びマイナーチェンジが実施され、「シルヴァースピリットⅢ」に移行しました。第二世代モデルの総生産台数は、1,152台でした。