イギリスの高級自動車メーカーであるロールス・ロイスは1949年、「シルヴァーレイス」に続く第二次世界大戦終結後のニューモデル第二弾となる「シルヴァードーン」をリリースしました。シルヴァーレイスの下位に位置するモデルであるとともに、傘下のベントレー・ブランドより1946年にリリースされた「マークⅣ」と基本設計を共有する姉妹車種の関係にありました。
シルヴァーレイスよりもコンパクトなボディ
製造されたボディタイプは4ドアセダンのみで、スタイリングはボディと一体化された前後のフェンダーやヘッドランプ、サイドスカートなど、戦後型ならではの近代的なフォルムが備わっていました。ボディの架装は主にロールス・ロイスの自社工場で行われたものの、一部はコーチビルダーの手にゆだねられました。
ボディ・ディメンションは全長5,168mm×全幅1,753mm×全高1,676mm、ホイールベース3,048mmで、トレッドはフロントが1,442mm、リアが1,486mmでした。これらの数値は、シルヴァーレイスよりもやや小さいものでした。サスペンションは、フロントにコイルスプリングを用いた独立懸架式が、リアにはリーフスプリングを用いたリジッド・アクスル式が採用されました。
エンジンはシルヴァーレイス譲り
駆動方式は他のロールス・ロイス車同様、コンベンショナルなFRが採用されました。エンジンは、シルヴァーレイス譲りの4,257cc直列6気筒で、吸気側がOHV、排気側がSV(サイドバルブ)という戦前のモデルさながらの「oise」方式も継承されました。圧縮比は6.75:1、キャブレターはストロンバーグ製シングルで、最高出力は同ブランドの方針により公表されませんでした。
このエンジンはベントレー・マークⅣにも搭載されたものの、こちらはSUツインキャブレターを装備し、最高出力は137hpと公表されていました。組み合わせられるトランスミッションは、当初は4速MTのみの設定でした。ブレーキは、シルヴァーレイス同様フロントに油圧式サーボ、リアに機械式サーボが備わる4輪ドラム式が採用されました。
そして1951年、シルヴァーレイスと同時期に排気量が4,566ccに拡大され、翌1952年にはこれもシルヴァーレイス同様にGM製の4速オートマチック・トランスミッションがオプション設定されました。一方、その後さらに排気量が4,887ccまで拡大されたシルヴァーレイスと異なり、4,566ccのまま1955年まで生産を継続、同年をもって後継モデル「シルヴァークラウド」にバトンタッチされました。
総生産台数は761台で、イギリス国内での販売のほかアメリカへの輸出も行われました。