ロールス・ロイスは1971年、同社の主力であった高級乗用車「シルヴァーシャドウ」のボディ・バリエーションから2ドアクーペと2ドアコンバーチブル(ドロップヘッドクーペ)を分離させるとともに、その車名を「コーニッシュ」と名付けました。その後改良を繰り返しながら、4半世紀にわたり基本設計に変更のないまま生産が続けられるロングセラーモデルとなりました。
基本設計やエクステリアは従来譲り
生産方法はシルヴァーシャドウ時代と同様に、ロールス・ロイスからはプラットフォームとメカニカル・コンポーネンツのみが供給され、コーチビルダーのミュリナー・パーク・ウォードの手によりボディが架装されました。エクステリア・デザインは従来から大きな変更はなく、全長5,169mm×全幅1,829mm×全高1,492mm、ホイールベース3,042mmのボディ・ディメンションも同等でした。
サスペンションは油圧制御式「ハイロドーリック・システム」採用による、フロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:セミトレーリングアーム/コイル式4輪独立懸架が踏襲されました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンも6,750ccV型8気筒OHV SUツインキャブレター仕様がキャリオーバーされました。
最高出力はそれまでと同様、同社のポリシーに則り公表されませんでした。トランスミッションは当初、従来同様の3速ATが組み合わせられました。また、ブレーキも当初はそれまでと同様の4輪ソリッド・ディスク式が装備されたものの、翌1972年にフロントがベンチレーテッド型にアップグレードされました。
その後、1977年にステアリング形式がラック&ピニオン式に変更され、1980年にはキャブレターに代わりボッシュ燃料噴射システムが採用されました。次いで1981年にはフィクスドヘッドのクーペがカタログ落ちし、ドロップヘッドクーペに一本化されました。続いて1986年にマイナーチェンジが実施されコーニッシュⅡに移行、バンパーの形状などが変更されました。
安全装備を強化
次いで1988年にはインパネやシートなどが変更されるとともに、ABSが標準化されました。追って翌1989年に2度目のマイナーチェンジが実施されコーニッシュⅢに移行、内外装の変更やサスペンションの改良とともに、SRS運転席エアバッグシステムが標準化されました。続いて1992年の3度目のマイナーチェンジにより、コーニッシュⅣとなりました。
ATが4速化されるとともにアダプティブサスペンションが採用されたほか、助手席にもSRSエアバッグシステムが標準化されました。次いで2000年に5度目のマイナーチェンジを受けコーニッシュⅤとなったものの、翌2001年に経営体系の変更にともない生産終了となりました。