ゼネラルモーターズ(GM)のポンティアック・ブランドから1967年にリリースされた2+2仕様のスポーティカー「ファイヤーバード・トランザム」は、1981年に11年ぶりにして2度目のフルモデルチェンジが実施され、3代目モデルに移行しました。先代からスタイリングが一新されるとともに、パワートレインも刷新されました。
大幅な軽量化を実現
プラットフォームは、先代同様の「Fボディ」が踏襲されました。ボディタイプはガラスハッチが備わる2ドアクーペで、エクステリア・デザインはポップアップ式ヘッドランプ採用による低くスラントしたノーズや、強い傾斜角が与えられたAピラーを備えていました。ボディ・ディメンションは全長4,770mm×全幅1,840mm×全高1,260mm、ホイールベース2,565mmで、先代から一回り縮小されました。
車両重量は1,438kgで、先代から120~180kgほどの軽量化を果たしていました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは先代の4.9L V8OHV NAおよびターボに代わり、5L V8OHV NAのシングルキャブレター仕様(最高出力147ps)および燃料噴射仕様(最高出力167ps)が用意されました。4速MT仕様の最高速度は、201km/hに達しました。
サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン/コイル式、リアがロングリードアーム/コイル・リジッド式で、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック2.4回転のリサーキュレーティング・ボール式が採用されました。また、ブレーキはフロントに267mm径のディスクローターが備わるベンチレーテッド・ディスク式、リアにドラム式が装備されました。
ハイパフォーマンス版を追加
タイヤは、他のファイヤーバードのグレードよりもワイドかつ大径なP215/65HR15サイズが装着されました。その後、1983年モデルで193psの最高出力を発生する「HO」仕様エンジンが追加されました。次いで1984年モデルでは、Tバールーフの採用を含む専用の内外装や4輪ディスクブレーキなどが備わるトランザム誕生15周年記念モデルが設定されました。
続く1985年モデルではフェイスリフトが実施されると同時に、5L V8OHV直噴エンジン(最高出力208ps)が追加されました。さらに1986年モデルでエクステリアに小変更が施されるとともに、5.7L V8OHV直噴エンジン(最高出力228ps)が追加されました。追って1987年モデルで、上級グレードの「トランザムGTA」が追加されました。
さらに1988年モデルでは、トランザムGTAにFRP製リアハッチが備わるノッチバック仕様がオプション設定されました。次いで1989年、トランザム誕生20周年記念モデルとして、3.8L V8OHVターボエンジン(最高出力253ps)を搭載する「ターボ・トランザム」がリリースされました。そして1993年にフルモデルチェンジが実施され、4代目モデルに移行しました。