光岡自動車は2005年9月、3代目「日産・マーチ」をベースとしたクラシカルムードあふれるコンパクトカー、2代目「ビュート」を発売しました。2代目マーチをベースとした先代モデルが生産終了となって以来2年ぶりの復活で、イギリスの名車「ジャガー・Mk2」をモチーフとしたエクステリア・デザインが踏襲されました。
4ドアセダンに一本化
ボディタイプは、先代に設定のあった3ドア/5ドアハッチバックや2ドアコンバーチブルの設定がなくなり、3ボックス型の4ドアセダンに一本化されました。エクステリアは先代同様マーチのボディシェルを流用しながらも、巧みにビンテージな雰囲気に仕立てられていました。ボディサイズは全長4,400mm×全幅1,680mm×全高1,520~1,530mmで、先代から一回り拡大されました。
また、ホイールベースも70mm延長され2,430mmとなりました。サスペンション形式はフロントはマクファーソンストラット式が踏襲された一方、リアは5リンク式からトーションビーム式に変更されました。駆動方式は従来同様のFFに加え、フルタイム4WDが選べるようになりました。
エンジンは3種類
エンジンはマーチと共通で、1.2L直4DOHC(最高出力90ps/最大トルク12.3kgm)、1.4L直4DOHC(最高出力97ps/最大トルク13.9kgm)、1.5L直4DOHC(最高出力109ps/最大トルク15.1kgm)の3種類が用意されました。トランスミッションは1.2L/1.4Lには4速トルコン式ATが、1.5LにはCVTが組み合わせられました。
グレードは「1200」「1400 4WD」「1500」の3タイプのラインナップで、安全装備面では全車にSRSデュアルエアバッグシステムやEBD&ブレーキアシスト付きABSなどが標準装備されました。その後2006年12月に、各グレードをベースに仕様向上を図った特別仕様車「15周年記念特別仕様車」がリリースされました。
次いで2008年3月にグレード体系が見直され、1.2Lエンジン搭載の「12ST」「12LX」、1.4Lエンジン搭載の「14LX 4WD」、1.5Lエンジン搭載の「15LX」の4タイプとなりました。このうち、12STは5速MTの選択が可能でした。追って同年10月に一部改良が実施され、全車にプライバシーガラスが標準化されるとともに、12LX/14LX 4WDに分割可倒式リアシートが採用されました。
生産終了発表から一転、生産継続に
続いて2009年1月、保安基準改正に対応できないことを理由に同年12月いっぱいでの生産終了が発表されると同時に、各エンジンを搭載する特別仕様車「ザ ファイナル ビュート アニバーサリー」がリリースされました。さらに同年9月には、1.2Lエンジン搭載の特別仕様車「ブロンズコレクション クイーンブロンズ」がリリースされました。
追って翌10月、生産終了を惜しむ声に応え、新保安基準に適合させるマイナーチェンジを実施した上で生産が継続されました。そして2010年6月に1.2L/1.5Lエンジンを搭載する特別仕様車「ヴィンテージ」がリリースされたのち、翌7月にベースモデルであるマーチのフルモデルチェンジにともないビュートの新車販売は打ち切られました。