光岡自動車は1994年1月、同社初の2シータースポーツカーとなる「ゼロワン」を発売しました。「ロータス・スーパーセブン」の末裔である「バーキン・セブン」を下敷きに開発されたため、スタイリングもそれと類似したものとなりました。また、当時の運輸省から初めて型式認定を取得したことで、晴れて国内10番目の自動車メーカーとなりました。
独自の設計を採用
外観はバーキン・セブンを彷彿とさせるものであったもののレプリカではなく、スペース鋼管式のフレームも光岡独自の設計によるものでした。ボディタイプはロードスターのみの設定で、ロングノーズ・ショートデッキのプロポーションや独立した前後フェンダーなど、スーパーセブンやバーキンセブンと同様の古典的な出で立ちを備えていました。
ボディ・ディメンションは全長3,645mm×全幅1,690mm×全高1,190mm、ホイールベース2,355mmで、バーキン・セブンなどよりも二回りほど大柄でした。それにともない車両重量もはるかに重い720kgとなっていたものの、絶対的には十分に軽量といえるものでした。駆動方式はFRで、エンジンは「ユーノス・ロードスター」用の1.6L直4DOHCが搭載されました。
特にチューンナップは施されておらず、スペックはユーノス・ロードスターと共通の最高出力120ps/6,500rpm・最大トルク14kgm/5,500rpmでした。トランスミッションは、当初は5速MTのみの設定でした。サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式による4輪独立懸架で、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型、リアがソリッド型の4輪ディスク式が装備されました。
また、タイヤは前後とも185/60R14 82Hサイズが装着されました。装備面では、エアコンがオプション設定されるほかは一切の快適装備を持たないスパルタンな仕様となっていました。一方、安全装備面では運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されたほか、フレームにクラッシャブル構造が採用されるなど、必要最低限の安全性は確保されていました。
排気量を拡大
ボディカラーは、「グリーンメタリック」「ワインメタリック」「ブルーメタリック」の3色が用意されました。その後1996年5月に、エンジンがこれもユーノス・ロードスターからの流用となる1.8L直4DOHC(最高出力130ps/6,500rpm・最大トルク16kgm/4,500rpm)に置換されました。次いで1997年5月には、フロントまわりの造形が異なる「クラシックタイプF」が追加されました。
ベースモデルと比較すると全長が95mm、全幅が5mm拡大されたほか、4速トルコン式ATが設定されたことがこのモデルの特徴でした。こちらのボディカラーとしては、「グリーンマイカ」「シルバーメタリック」「レッドメタリック」の3色が用意されました。そして2000年7月、運輸省の側面衝突基準に対応できなかったことを理由に生産終了となりました。