AMゼネラル社は1992年、軍用4輪駆動車「ハンヴィー」をベースとした民生用モデル「ハマーH1」を発売しました。大柄なボディと大排気量エンジンの組み合わせや悪路走破性の高さ、軍用車両そのものといってよいエクステリア・デザインなどにより、一部のファンから熱烈に支持されました。
ボディは2タイプが基本
ラダーフレームに架装されるボディのタイプは、「4ドアワゴン」と呼ばれるハードトップ仕様の5ドアと、「4ドアオープントップ」と呼ばれるオープントップ仕様のダブルキャブ・ピックアップトラックの2タイプが基本で、その他に4ドアオープントップがベースのハードトップ仕様やスラントしたテールゲートを持つ「スラントバック」も用意されました。
ボディサイズは全長4,686mm×全幅2,197mm×全高1,956mmで、全長に対して全幅と全高の大きいディメンションが特徴でした。ホイールベースは3,302mmと長大で、前後共に1,819mmのワイドトレッドと相まって、タイヤをボディ四隅に配置したような独特なプロポーションを形成していました。更に、最低地上高は406mmと極めて高く設定されていました。
このロードクリアランスにより、アプローチアングル72°/デパーチャーアングル37.5°を確保、車両重量3トンに達する重量級ながら高い悪路走破性を実現していました。搭載されたエンジンは、当初GM製の6.2L V8ディーゼルNAエンジン(最高出力154ps/最大トルク34.7kgm)で、トランスミッションは3速トルコン式ATが組み合わせられました。
又、燃料消費量が多かった為、メイン95L+サブ64Lの大容量燃料タンクが採用されました。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン/コイル式で、ブレーキは4輪ともインボードタイプのベンチレーテッド・ディスク式が装備されました。ホイール&タイヤは、前後共に17×8.75ホイールと37×12.5R×17タイヤの組み合わせでした。
ディーゼルターボエンジンを追加
そして1994年に排気量が6.5Lに拡大され、スペックが最高出力175ps/最大トルク40kgmに向上すると共に、ATが4速に変更されました。更に翌1995年にGM製5.7L V8OHVガソリンNAエンジン(最高出力193ps/最大トルク45.9kgm)が、1996年に6.5L V8OHVディーゼルターボエンジン(最高出力195ps/最大トルク59.4kgm)が追加されました。
その後2005年に、パワートレインがいすゞ製6.6L V8OHVディーゼルターボエンジン(最高出力300ps/最大トルク71.8kgm)+5速トルコン式ATの組み合わせに変更されると共に、車名が「ハマーH1アルファ」に変更されました。しかし、原油価格高騰により燃費の悪いH1の販売は低迷、翌2006年に生産終了となりました。