ルノーは1995年のジュネーブ・ショーにおいて、新型スポーツカー「ルノースポール・スパイダー(ルノースポール・スピダー)」を発表、翌1996年から市販を開始しました。アルミスペースフレームにFRP製オープン2シーターボディを架装したモデルで、快適装備や安全装備を持たないスパルタンな仕様が特徴となっていました。
ボディは2種類の仕様を用意
デザインは社内デザインチームのパトリック・ルケマンによるもので、ツートーンのボディに備わる2枚のドアは跳ね上げ式になっていました。当初は、インパネの前方に「エアロスクリーン」と呼ばれる小さなディフレタクーが備わる仕様のみが用意されたものの、追ってフロントウィンドウと固定式の三角窓が備わる「ソットヴァン」と呼ばれる仕様が追加されました。
それに伴い、従来の仕様は「パラブリーズ」と呼ばれるようになりました。ボディ・ディメンションは全長3,795mm×全幅1,830mm×全高1,250mm、ホイールベース2,343mmで、トレッドはフロントが1,543mm、リアが1,536mmとなっていました。又、車両重量はソットヴァンで930kgと軽量に抑えられていました。
ルノー スポール スパイダーの走行シーン
エンジンはクリオ/メガーヌから流用
駆動方式はMRで、エンジンはコンパクトカー「クリオ・ウィリアムズ」や「メガーヌ16V」にも搭載される2L直4DOHC16V NAのF7R型が横置きにマウントされました。アウトプットはメガーヌ16Vと同一の最高出力150hp/最大トルク18.9kgmで、5速MTとの組み合わせにより最高速度211km/h・0-100km/h加速6.5sのパフォーマンスを発揮しました。
サスペンション形式は、フロントにダブルウィッシュボーン/コイル式が、リアにダブルセミトレーリングアーム/コイル式が採用されました。ステアリング形式はパワーアシストを持たないラック&ピニオン式で、ブレーキは前後共にノンサーボのベンチレーテッド型ディスクが装備されました。走行性能に係る装備は必要最小限で、ABSやLSDの設定もありませんでした。
又、タイヤはフロントに205/50R16、リアに225/50R16が装着されました。一方、5眼式メーターとツートーンのセンターコンソールが備わる室内は、エアコンやオーディオシステムの設定はなく、更にソットヴァン仕様を選んだ場合もソフトトップやハードトップなどは用意されない走りに特化した仕様でした。
生産は、既にスポーツカー「アルピーヌV6ターボ」の生産を終えていたアルピーヌの工場で行われ、1999年までにおよそ1,700台が生産されました。後継モデルのリリースはなく、ルノースポール・スパイダーが現時点で最後のルノー製本格スポーツカーとなっています。日本市場には、当時の正規インポーターであったフランス・モーターズによりパラブリーズ仕様が輸入されました。