トヨタの4ドアセダン「オリジン」は、同社の国内自動車生産累計1億台達成記念モデルとして、2000年11月に1000台限定で発売されました。車名の通り、トヨタ隆盛の起源となった車種である初代「トヨペット・クラウン」(RS型)をモチーフとして現代風にアレンジしたモデルで、1996年に発売された「トヨタ・クラシック」に次ぐパイクカーでした。又、外観のクラシカルなイメージに反しハイテクな装備が備わるのも特徴でした。
オリジナルの雰囲気を再現したボディ
スタイリングは、クラウンRS型をスマートにしたような雰囲気を持つ他、丸型2灯式ヘッドランプ採用のフロントマスクや観音開きのドア、リアクォーターピラーまで回り込んだリアウィンドウなど、随所に類似性の感じられるモチーフが取り入れられました。又、ボディは高剛性化と共に、組み立てや塗装などに同社の誇るクラフトマンシップを導入し、「センチュリー」に匹敵する高精度なフィニッシュを実現した事も特徴でした。
プラットフォームは当時販売されていたアッパーミドルセダン「プログレ」と共通で、ボディサイズは全長4,560mm×全幅1,745mm×全高1,455mmで僅かに大きく、ホイールベースは2,780mmで同一、車両重量は僅かに重い1,560kgでした。オリジナルのクラウンRS型と比較すると、全長で275mm、全幅で65mm大きく、全高は70mm低いワイド&ローな現代的プロポーションに変化しました。
トヨタ オリジンの動画
オリジナルから隔絶した性能と安全装備
サスペンションは、プログレ同様の4輪ダブルウィッシュボーン式を踏襲し、駆動方式もプログレやクラウンRS型同様のFRでした。エンジンはプログレとは異なり、3L直6DOHC VVT-i(可変バルブタイミング機構)仕様の2JZ-GE型が搭載されました。最高出力215ps/5,800rpm・最大トルク30kgm/3,800rpmのスペックを持ち、電子制御フレックスロックアップ付4速トルコン式AT「ECT-iE」と組み合わせられました。
クラウンRS型に搭載されたエンジンの最高出力は初期型の1.5L版で48ps、後期型の1.9L版でも90psに過ぎなかったので、40年余りの時の流れは性能に格段の差をもたらしました。インテリアは、パッケージングにも拘り余裕ある室内スペースを実現した他、本革製シートをはじめ、インパネやシフトノブ、ドア内貼りの一部に本木目を採用したゴージャスな仕立てが特徴でした。
一方インパネのデザインは、特にクラウンRS型のモチーフは取り入れられず、自発光式メーターや電動ポップアップ式DVDナビゲーションシステムなどが備わるモダンなものでした。又、SRS6エアバッグシステムやVSC(横滑り防止装置)&TCS、レーダークルーズコントロールなど、当時として最先端の安全装備が備わりました。価格は700万円で、当時のトヨタ車の中ではハイエンドに近い価格でした。