トヨタの4ドアセダン「クラシック」は、同社の市販車生産60周年記念車として1996年に100台限定で製造販売されました。1936年から1943年に掛けて生産された4ドアセダン「トヨタ・AA型乗用車」をモチーフとしたパイクカーで、ピックアップトラックの5代目「ハイラックス」をベースとして、系列会社である「トヨタテクノクラフト」の手によりほぼハンドメイドで生産が行われました。
AA型の雰囲気を忠実に再現したスタイリング
スタイリングは、後述するようにディメンションこそやや異なるものの、格子型のフロントグリルやボディ本体から独立したヘッドランプ、同じく独立したフロントフェンダーとそれに続くサイドステップや張り出したリアフェンダー、そしてリアフード上のスペアタイヤカバーなど、AA型特有のクラシカルな雰囲気をかなり忠実に再現したものとなっていました。
ボディサイズは全長4,885mm×全幅1,735mm×全高1,650mm、ホイールベースは2,850mmで、オリジナルと比較すると全長で100mm、全幅で5mm大きく、全高は86mm低い現代的なディメンションに変化しました。車両重量は1,480kgで、約1,500kgとされるAA型と大差ないものでした。シャシーはハイラックス同様のラダーフレームで、形式上はオリジナルと同様の構造でした。
足回りやエンジンはややクラシカル
サスペンションもハイラックスと同様で、フロントがダブルウィッシュボーン/コイル式、リアはリジッドアクスル/リーフ式を採用しました。リアの形式が当時としても乗用車としては時代遅れであったものの、AA型の4輪リジッド/リーフ式と比較すれば幾分現代的と言えるものでした。駆動方式はハイラックスやAA型同様のFRで、エンジンは2L直4OHVというこちらもやや古典的な仕様の3Y-E型が搭載されました。
スペックは、最高出力97ps/4,800rpm・最大トルク16.3kgm/3,800rpmというごく控えめなものでした。しかし、AA型は3.4L直6OHVエンジンで最高出力64ps/3,000rpm・最大トルク19.4kgm/1,800rpmだったので、クラシックは約6割の排気量からおよそ1.5倍の出力を発生した計算になり、時代相応の進化は感じられるスペックした。トランスミッションはAA型の3速MTに対し、4速トルコン式ATが組み合わせられました。
インテリアは、ハイラックスのイメージを受け継ぐデザインのインパネが採用された為、エクステリアと異なりAA型を彷彿とさせるような雰囲気はありませんでした。しかしながら、内装のウッド仕上げやエアバッグの備わらないウッド製3スポークステアリングの採用などにより、クラシカルかつラグジュアリーな雰囲気の演出は抜かりなく行われました。価格は800万円で、後の「オリジン」よりも高価でした。
又、1998年に派生モデルとして、クラシックをベースにピックアップトラックに改装した「TCピックアップ」が受注生産方式で発売されました。