ゼネラルモーターズ(GM)は1991年、「キャデラック」ブランドの高級セダン「セビル」に6年ぶり4度目のフルモデルチェンジを実施し、5代目モデルに移行させました。先代からプラットフォームが一新されると同時に、ホイールベースが若干延長されました。また、歴代セビルで初めて右ハンドル仕様車が設定されたことも大きな特徴で、日本市場にも同仕様が導入されました。
エンジンは先代からのキャリオーバー
ボディタイプはそれまでと同様4ドアセダンのみの設定で、エクステリア・デザインはキープコンセプトにより先代のイメージを受け継ぎながらも、プロジェクター・ヘッドランプの採用などにより一段と洗練された雰囲気に変貌しました。ボディサイズは全長5,105mm×全幅1,905mm×全高1,407mmで、先代から全長が短縮された一方、全幅と全高は若干拡大されました。
ホイールベースは2,850mmで、先代から30mmほど延長されました。駆動方式はFFを踏襲し、エンジンも4.6L V8DOHC32バルブ仕様のLD8/L37型「ノーススター」がキャリオーバーされました。グレード体系は、LD8型エンジン(最高出力279ps/最大トルク41.5kgm)搭載の標準グレード「SLS」と、L37型エンジン(最高出力304ps/最大トルク40.8kgm)搭載の上級グレード「STS」の2タイプが基本でした。
リア・サスペンションを変更
組み合わせられるトランスミッションは、従来同様の4速トルコン式ATでした。サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラットを踏襲し、リアはダブルウィッシュボーン式からマルチリンク式に変更されました。また、ブレーキは先代同様フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。
安全装備面では、従来のSRSデュアルエアバッグシステムやABS、トラクションコントロールに加え、新たにSRSサイドエアバッグシステムが標準装備されました。その後2002年に、STSに「マグネティックライド」と呼ばれるアダプティブサスペンションが採用されました。そして2004年のフルモデルチェンジで車名を「STS」に変更、セビルは29年の歴史に幕を下ろしました。
日本向けモデルは全長を短縮
日本市場には、1997年12月に初上陸を果たしました。日本仕様車は専用バンパーの採用により、全長が5mを切る4,995mmに抑えられたことが特徴となっていました。導入されたグレードは、当初SLS-EとSTSの2タイプで、いずれも左ハンドル仕様のみの設定でした。追って翌1998年2月にエントリーグレードのSLS(右ハンドル仕様)が追加されると同時に、SLS-E/STSに右ハンドル仕様が設定されました。
その後1999年11月にSLS-Eが廃止され、さらに2002年2月にはSTSのみに整理されました。