フィアットは1988年1月、1978年デビューの「リトモ」の代わる新型FFハッチバック車「ティーポ」を発表しました。複数のブランドとプラットフォームを共有化する「ティーポ2プロジェクト」の元で開発され、後に登場する「ランチア・テドラ」や「アルファロメオ・145」などと姉妹車種の関係となりました。又、基本設計も優秀でヨーロッパ・カーオブザイヤーに輝きました。
デザインはI.DE.Aが担当
当初6ライトウィンドウの5ドアのみが用意されたボディは、デザイン企業「I.DE.A」によりデザインが手掛けられました。直線基調のボクシーなフォルムながら空力特性にも配慮され、Cd値0.31を実現していました。全長3,960mm×全幅1,695mm×全高1,435mmのボディサイズはリトモから幾分拡大され、ホイールベースは100mm程長い2,545mmに設定されました。
サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラット式を踏襲する一方、リアはウィッシュボーン/リーフ式からトレーリングアーム/コイル式に変更されました。エンジンは当初、ガソリンは1.1L直4SOHC(最高出力56ps/最大トルク9.1kgm)、1.4L直4SOHC(最高出力73ps/最大トルク11.1kgm)、1.6L直4SOHC(最高出力84ps/最大トルク13.3kgm)がラインナップされました。
一方ディーゼルは、1.7L直4SOHC NA(最高出力59ps/最大トルク10kgm)、1.9L直4SOHC NA(最高出力66ps/最大トルク12.1kgm)、同ターボ(最高出力93ps/最大トルク19.5kgm)のラインナップでした。トランスミッションは5速MTが標準で、一部モデルに4速トルコン式ATが設定されました。一方インテリア面は、ガソリン1.6Lエンジン搭載の「DGT」にデジタルメーターが採用された事が特徴でした。
ツインカムモデルを追加
そして翌1989年、新開発のガソリン直4DOHC16V燃料噴射仕様エンジンを搭載し、ティーポ初の4輪ディスクブ式レーキが備わる2つのグレードが追加されました。ひとつは排気量1.8L(最高出力138ps/最大トルク17kgm)の「1.8i.e16V」、もうひとつは排気量2L(最高出力148ps/最大トルク17.7kgm)の「2.0i.e16V」で、後者は最高速度207km/hの性能を備えていました。
更に1990年には、ガソリン1.8L直4SOHCエンジン(最高出力112ps/最大トルク14.3kgm)搭載の「1.8i.e」及び2L直4SOHCエンジン(最高出力117ps/最大トルク15.9kgm)搭載の「2.0i.e」が追加された他、1.4/1.6L車にCVTが設定されました。次いで1993年4月、フェイスリフトと共に衝突安全ボディが採用された他、3ドアハッチバックが追加になりました。
そして1994年に後継モデル「ブラーヴォ/ブラーヴァ」が登場した事を受け、翌1995年に生産終了となりました。日本市場においては、1990年にまず1.6Lエンジン+5速MT仕様車の導入が開始され、次いで1992年に「2.0 16V」(2.0i.e16V相当)5速MT仕様が、1993年に「2.0GT」(2.0i.e相当)4速AT仕様が追加されました。