GMは「ハマーH1」の生産を行っていたAMゼネラル社からハマー・ブランドを買い取り、2002年にオリジナル設計の新型SUV「ハマーH2」を発売しました。軍用車両がベースのH1と異なり最初から民生専用モデルとして開発され、シャシーやエンジン、内外装デザインも異なっていました。商業的に成功を収め、H1が生産終了となった後も販売が続けられました。
シャシーはピックアップ用がベース
ピックアップトラック「シボレー・タホ」用がベースのシャシーに架装されるボディは、5ドアステーションワゴンの他、「H2 SUT」と呼ばれる4ドアのダブルキャブ・ピックアップトラックも用意されました。スタイリングはH1譲りのスクエアなフォルムを受け継ぎながらも、高級SUVに相応しいデザインテイストが取り入れられました。
初期型のボディ・ディメンションは全長4,821mm×全幅2,062mm×全高1,976mm、ホイールベース3,117mmで、H1から全長が135mm拡大された一方ホイールベースは183mm短縮された為、相対的に前後のオーバーハングが長いプロポーションとなりました。車両重量は2,903kgで、3トンを超えるH1からは軽量化されていました。
一方、最低地上高はH1の406mmに対し一般的なSUVと大差ない257mmとなった他、アプローチ/デパーチャーアングルはH1の72°/37.5°に対し42.8°/40°となりました。駆動方式はフルタイム4WDを踏襲し、エンジンは6L V8OHVガソリンNA(最高出力320ps/最大トルク49.8kgm)が搭載されました。トランスミッションはH1同様、4速トルコン式ATとの組み合わせでした。
サスペンション形式は、H1が4輪ダブルウィッシュボーン/コイル式であったのに対し、フロントにダブルウィッシュボーン/トーションバー式、リアに5リンク/コイル・リジッド式が採用されました。ブレーキはデュアルピストンキャリパー採用の4輪ベンチレーテッド・ディスク式で、ホイール&タイヤは前後とも8.5J×17ホイールとLT315/70R17タイヤの組み合わせでした。
エンジンを改良
その後2004年にエンジンに改良が施され、スペックが最高出力330ps/最大トルク50.5kgmに向上しました。次いで2005年にスペアタイヤの搭載場所が室内からテールゲート背部に移動、それに伴い全長が5,171mmとなりました。続いて2007年、再度エンジンが改良されスペックが最高出力398ps/最大トルク57.4kgmに向上した他、ATが6速化されました。
その後は大きな仕様変更はなく、2010年をもって生産終了となりました。日本市場への初上陸は2003年2月で、当初は3列シート6人乗り仕様のモノグレード設定(グレード名無し)だったものの、翌2004年4月に2列シート5人乗り仕様の標準グレード「タイプS」と6人乗り仕様の上級グレード「タイプG」の2タイプとなりました。