トヨタ自動車は2007年10月、レクサス・ブランドで販売するDセグメントセダン「IS」(2代目)をベースとしたハイパフォーマンスモデル「レクサス・IS-F」の国内販売を開始しました。専用の内外装や足回りが備わるボディに大排気量V8エンジンを搭載、スポーティな雰囲気と共に優れた動力性能や操縦安定性を実現したモデルでした。
最高速度270km/hの性能を実現
スタイリングは基本的なフォルムをISから踏襲しつつ、盛り上がったボンネットフードや張り出したフェンダー、大型バンパー、4本出しエグゾーストパイプなどによりISとの差別化が図られていました。ISと同一のCd値0.27の空力特性を持つボディのディメンションは、全長4,660mm×全幅1,815mm×全高1,430mm、ホイールベース2,730mmでした。
ISとの比較では、全長が85mm、全幅が20mm拡大された一方全高は15mm低められました。駆動方式はFRのみの設定で、エンジンは「LS600h」用をベースに開発された5L V8DOHCガソリンNAの2UR-GSE型(最高出力423ps/最大トルク51.5kgm)が搭載されました。トランスミションは、2速以上にロックアップ機構が備わる8速トルコン式ATが組み合わせられました。
パフォーマンスは、最高速度270km/h・0-60mph加速5.2sを誇りました(※北米仕様の数値)。サスペンションは、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:マルチリンク式の形式を踏襲しつつ、スプリングやダンパーに専用チューニングが施されました。又、4輪ベンチレーテッド・ディスク式のブレーキも、ローターの大径化などの強化が図られました。
更に走行性能に係る装備として、3つのモード切替やオフも可能な電子デバイス「VDIM」が採用されました。一方室内は、前席に本革スポーツシートが備わる他、リアにはサポート性を重視した2人掛けシートが採用され、乗車定員はISより1人少ない4人となりました。又、メーターパネルも300km/hスケールのスピードメーターが備わる専用品が採用されました。
特別仕様車を設定
グレード体系は、モノグレード設定(グレード名無し)でした。その後、翌2008年9月の一部改良でセンタークラスターの意匠変更などが実施され、2009年2月にはセミアニリン本革シートやカードキーなどが備わる50台限定の特別仕様車「ブレイジング・テラコッタ・インテリア」が設定されました。
更に同年8月の一部改良でトルセンLSDが採用されるとともに、ステアリングホイールの意匠変更やカーナビの機能向上などが図られました。次いで2010年10月にマイナーチェンジが実施され、内外装の意匠変更や足回りのセッティング変更と共に、サーキット走行時に限りスピードリミッターが解除される「サーキットモード」が新設されました。
続いて2011年8月の仕様変更で、ショックアブソーバーの変更など足回りの改良が行われました。その後2013年5月にベースモデルのISがフルモデルチェンジを受け3代目モデルに移行したものの、IS-Fはそのまま販売が継続され、同年9月には最後の一部改良により内外装デザインの変更や装備の充実化が図られました。
同時に、剛性アップと共に専用パーツが奢られたボディに、専用チューニングが施されたエンジン(最高出力430ps)を搭載する特別仕様車「ダイナミックスポーツチューニング」が設定されました。そして2014年5月、生産終了となりました。