アウディAGは1994年2月、前年に生産を終了した「アウディ・V8」に代わる新型フラッグシップセダン「アウディ・A8」を発表しました。V8よりも大柄な体躯ながらオールアルミボディの採用により車両重量の増加を最小限に抑えると共に、Cd値0.29の空力特性を達成、それにより優れた走行性能や燃費性能を実現しました。
2種類のホイールベースを用意
ボディタイプはV8同様4ドアセダンのみとなる一方、新たにショートホイールベースとロングホイールベースの2つの仕様が設定されました。流麗なフォルムが備わるボディのサイズは、全長5,034mm(ショート)/5,164mm(ロング)×全幅1,880mm×全高1,438mmで、V8から一回り拡大され、ホイールベースも大幅に延長されて2,882mm(ショート)/3,010mm(ロング)となりました。
サスペンション形式はV8から一新され、フロントに4リンク式、リアにトラペゾイダルと呼ばれるダブルウィッシュボーン式が採用されました。駆動方式は当初V8同様フルタイム4WDのみの設定で、エンジンは2.8L V6(最高出力174ps/193ps)、3.7L V8(最高出力230ps)、4.2L V8(最高出力310ps)のガソリンNAと、2.5L V6(最高出力150ps/180ps)及び3.3L V6(最高出力225ps)のディーゼルターボが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、当初5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。又、安全装備面ではSRSデュアルエアバッグシステムやABS、トラクションコントロールが装備されました。そして1996年、4.2Lエンジンの最高出力を340psまで高めて搭載するハイパフォーマンスな派生モデル「アウディ・S8」が追加されました。
W12気筒エンジン搭載車を追加
次いで1997年、A8にFF仕様車が追加されると共に、SRSサイドエアバッグシステムとESP(横滑り防止装置)が標準化されました。続いて1999年にフェイスリフトが実施されると共に、SRSカーテンエアバッグシステムが追加されました。更に2001年には、6L W12気筒エンジン(最高出力420ps)を搭載する最上級モデル「A8L」が追加されました。
そして翌2002年にフルモデルチェンジが実施され、2代目D3系に移行しました。日本市場に導入された初代A8は、全てショートホイールベース版ボディとガソリンエンジンの組み合わせでした。まず欧州デビュー翌年の1995年5月に、4.2Lエンジン+4速AT搭載4WD方式の「4.2クワトロ」が上陸を果たしました。
次いで1998年1月に3.7Lエンジン+5速AT搭載FF方式の「3.7」が追加されると同時に、4.2クワトロにも5速ATが採用されました。続いて1999年8月、フェイスリフト版に切り替えられると共に3.7がカタログ落ちし、4.2クワトロはエンジンの5バルブ化により最高出力が310psに向上しました。そして2003年10月に2代目モデルに切り替えらえました。